安心で安全な外来化学療法のために

愛知医科大学病院

臨床腫瘍センター(外来化学療法部門)

愛知県長久手市岩作雁又

18床を有する外来化学療法室

外来化学療法室は病院3階30外来にあり、外来で化学療法を受ける患者さんが利用する場所です(写真1)。専門の医師・薬剤師、がん化学療法認定看護師、専任の看護師が配置され、12床のベッドとリクライニングチェア6台(写真2)の計18床で化学療法を行っています。当院では、2007年3月から外来化学療法室を設置して、外来の化学療法に対応してきました。治療件数は現在、月に600件ほどです。

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写真1 3階30外来(臨床腫瘍センター・外来化学療法室受付)
写真2 外来化学療法室に設置しているリクライニングチェア

初回治療前には、看護師による患者さんへの化学療法室のオリエンテーションと、薬剤師による薬剤指導を行っています。医師から治療計画などの説明はありますが、病気や薬について疑問や不安など気になることがあるときには、外来化学療法室で薬剤師や看護師にご相談ください。各疾患別や個別の薬剤、副作用などのパンフレットも備えていますので、お気軽に声をかけてください。

レジメン管理とオーダリングシステム

当院で行われている化学療法は、前もって根拠となる文献を添付し、必要事項を記入した治療メニュー(レジメン登録表)が提出されます。登録表には適応疾患・対象、薬剤名・規格・投与量・増量減量規定・中止基準・短縮規定、補液や支持療法薬の必要性・投与量・手技・投与ルート・投与順・点滴速度・投与間隔、推奨コース数などが記入されています(図)。

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図 登録しているレジメン一覧とレジメン登録表(血液疾患、非ホジキンリンパ腫R-CHOP)

毎月1回、院内でがん薬物療法委員会を開き、レジメンの内容を検討し、認可された治療を行っています。レジメンに基づくことにより、安全で安心な治療を受けていただくことができます。医師が使用するレジメンを選択し、患者さんの体重、身長を入力すると、レジメンオーダリングシステムが自動計算して、薬剤の投与量と投与スケジュールが表示されます。薬剤の下限値を下回る場合は注意喚起画面が表示され、また、上限値を超えての入力はできないようになっており、安全性を担保しています。休薬期間内の誤った投与も制限しており、投与スケジュールの管理も行うシステムになっています。

薬剤部で行う抗がん剤の調剤

注射用抗がん剤の調剤は、注射薬内の汚染を防ぐための無菌的な環境と、調剤による環境汚染や調剤者の抗がん剤にさらされることを防止するために、地下1階の薬剤部セントラルファーマシーの専用部屋で調剤しています。調剤には安全キャビネットを使用しており(写真3)、薬剤の無菌的調剤が可能となっています。

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写真3 薬剤部セントラルファーマシーの抗がん剤調剤室(安全キャビネット)

入力されたレジメンは薬剤部で妥当性が確認され、薬剤を取り揃えます。そして、治療当日に主治医の実施確認があると調剤が開始されます。

ともに考える自己管理と副作用対策

外来での治療を継続していくためには、副作用の症状コントロールが重要となってきます。入院と異なり、自宅では、患者さん自身が副作用に対処していかなければなりません。そのため外来化学療法室では、治療開始前に前回の治療後にどのような副作用が起きたのかを確認し、患者さんとともに対策を考え、安心して自宅での生活を送ることができるように支援しています。

また、治療を継続していくなかで不安になったり、つらくなったりしてしまうこともあるかと思いますが、医師・薬剤師・看護師など、さまざまな職種が連携をとって、患者さんをサポートしていきます。

更新:2022.03.14