精神神経科で行う治療について教えてください

愛知医科大学病院

精神神経科

愛知県長久手市岩作雁又

精神神経科では、どんな病気を診るのですか?

それまで元気に通勤・通学をしていた家族が急にふさぎ込んだり、様子がおかしくなったりする、急性精神病という病気があります。原因としては、人間関係の悩みなどからくる心の病だけではなく、脳の病気が隠れていることもあります。カウンセリングなどを通して心の悩みの相談をすべき病態や、脳が一時的にモード変化を起こしてしまっているので、それを投薬によって逆転させることを試みるべき病態、さらに、脳炎や内分泌疾患などのような、ほかに治療すべき疾患によって脳が影響を受け、そのために行動の変化が生じている病態などがあります。これらをきちんと区別し、それぞれに適切な対応をすることが当科の大きな役割です。当科では、予約なしで受診された方でも、迅速に対応します。

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写真1 精神神経科外来受付・待合室

また、当科ではうつ病の重症例や、ほとんど固まって喋(しゃべ)れなくなってしまう緊張病状態といった重い病状の患者さんに対しては、特効的で有効性の高い電気けいれん療法を行っています。この療法は、動けなかった人が動けるようになり、食べられなかった人が食べられるようになるといった効果があります。

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写真2 精神神経科 外来診察室

妊娠していたり、別の病気があったりしても診てもらえるのですか?

妊産婦のうつ病・急性精神病にも対応しています。また、摂食障害や、そのほか、SLEの糖尿病など、さまざまな身体合併症のある患者さんも積極的に受け入れており、妊婦の患者さんは産婦人科と、摂食障害は内科と、脳炎などは神経内科とともに治療しています。

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写真3 精神神経科 病棟スタッフステーション

摂食障害については対応できるベッド数に限りがあるため、入院は順番待ちとなる場合があります。しかし、緊急事態にある患者さんもいます。体重が一定以上減少すると致死率が飛躍的に高まり、さらに脳の一過性の萎縮(いしゅく)によって正常な判断力が失われます。そうした場合には救命のために医療保護入院の上、体重が一定の割合になるまでは厳しい行動制限と行動療法的な接近方法で命を救うようにしています。さらに、家族教室を実施し再発予防にも努めています。

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写真4 箱庭療法

これまで当科で入院をして加療を行った、身体疾患によって引き起こされた重篤な精神疾患の主な原因は、SLE、神経梅毒、クロイツフェルト・ヤーコブ病、NMDA脳炎、VGKC抗体脳炎、甲状腺機能低下症・亢進症、クッシング症候群、ステロイド精神病など数多くあります。ほかの診療科と密接に連携し、治療にあたっています。

更新:2022.03.14