手術を受けるのが怖いのです

愛知医科大学病院

麻酔科

愛知県長久手市岩作雁又

手術に関する不安なことを聞いてもいいのですか?

手術を受けるのは誰でも怖いものです。手術が失敗したらどうしよう、麻酔から覚めなかったらどうしよう、術後、痛かったらどうしよう、手術を受ける患者さんがいろいろな心配を抱かれるのは当然のことと思います。当科は麻酔科医32人(うち麻酔専門医16人)、周術期の診療看護師4人のスタッフで、中央手術部ならびに周術期集中治療部の看護師とともに、患者さんが安全かつ快適に手術を受けられるようベストを尽くしています。

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写真1 当院中央手術部

手術を受ける患者さんには事前に、麻酔科外来で麻酔法とその合併症について説明をします。安心して手術・麻酔を受けていただくためには、その治療内容をしっかり把握していただくことが最も大切です。不安な点、不明な点などがありましたら、担当麻酔科医に遠慮なくお尋ねください。

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写真2 当院麻酔科外来

術後は手術に伴う痛み、吐き気、倦怠感(けんたいかん)などさまざまな症状が現れることがあります。手術・麻酔に伴う合併症が術後になって発生する場合も少なくありません。当院では、こうした問題に迅速に対応できるよう、できる限り周術期集中治療部で術後管理をしています。集中治療室といえどもすべて個室になっていますので、プライバシーも保たれます。

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写真3 当院周術期集中治療部

手術に伴う痛みを取ることはできるのですか?

手術に伴う痛みはとても不快でつらいものですが、それだけでなくさまざまな合併症の引き金にもなりかねません。当院では快適かつ安全に術後を過ごしていただけるよう、最大限の努力をしています。

術後、痛みが強いと予想される手術を受ける患者さんには、局所麻酔を用いた術後鎮痛が適しています。胸腹部の手術には硬膜外鎮痛法という、背骨の間から細いカテーテル(菅(くだ))を挿入する鎮痛法を用います。また、場合によっては神経ブロックという鎮痛法を用いて、手術した部位の感覚を麻痺(まひ)させて術後の痛みを取り除きます。術後の痛みが中程度と考えられる手術には注射による鎮痛薬を用います。

患者さんによって痛みの感じ方はさまざまです。術後の痛みがある場合には症状に応じて鎮痛薬を追加していく必要があります。痛みが強い場合は、遠慮なく担当スタッフにお申し出ください。

麻酔は安全なのですか?

さまざまな技術の進歩、新しい薬剤の開発によって、現代の麻酔はとても安全なものになっています。日本麻酔科学会の調査によると、特に体に異常のない患者さんが麻酔によって命を落としたり、意識が回復しないなどの重篤な後遺症を発生したりする確率は10万分の1前後と、非常に低くなっていると報告されています。残念ながら、何らかの持病がある患者さんや緊急手術の場合では合併症の可能性が高くなることもあります。患者さんに持病がある場合には、術前の病状をしっかり把握するとともに、薬などで病状を安定させておくことが大変重要になります。

術前に当科スタッフから既往症、治療内容などについて、いくつか質問することがあります。また、内服、食事、禁煙などについて指示を出すこともありますので、こうした指示をしっかり守っていただくようお願いします。安全に手術・麻酔を受けるためには私たちの力だけでなく、患者さんの協力が欠かせないことをご理解ください。

また、これも非常に稀(まれ)ではありますが、一部の患者さんでは麻酔薬が体質に合わなかったり、アレルギー反応が起こったりして、急に血圧が下がったり、呼吸困難に陥ったりすることもあります。手術・麻酔中は当科スタッフが絶え間なく患者さんの容態を監視し、異常があれば直ちに対応できる体制で患者さんの安全を守っています。

超音波ガイド下神経ブロックで痛みを取る

神経ブロックとは、ある特定の神経を薬で麻痺させて痛みを感じさせなくする鎮痛法です。従来、体の中にある神経の正確な位置を把握することができなかったため、時に鎮痛効果が不十分になっていました。最近、超音波診断装置の技術革新によって、神経の正確な位置を知ることができるようになりました。これによって、より正確に効果的な神経ブロックを行うことが可能となりました。当院では10年以上前からこの技術を採用して、術後鎮痛に活用しています。

更新:2024.10.18