最良の薬物療法をめざす
浜松医科大学医学部附属病院
薬剤部
静岡県浜松市東区半田山
最良の薬物療法とは?
最良の薬物療法とは、十分な薬効が得られて、副作用も問題にならず、患者さんが安心して治療を受けられることです。また、治療を続けやすい、より早く治る、薬が使いやすい、薬が少なくてすむ、お金がかからないなども、最良の薬物療法に含まれるでしょう。
一人ひとりの患者さんに最良の薬物療法を実現するためには、最適な薬の選択、投与量の調節、服薬管理(正しい使い方)が重要です。ここでは、それらに対する薬剤師の取り組みについてご紹介します。
フォーミュラリーを使った薬の選択
当院では、専門医による薬の選択のノウハウを病院全体で共有する目的で、フォーミュラリーを21の領域で作成しています。
フォーミュラリーとは、薬の選択や使用についての情報を含めたリストなどのことで、患者さんに対して効果的で経済的である、医薬品の使用方針のことを指します(例/図1)。これを使うことにより、信頼性の高い適切な薬物治療を、多くの患者さんへ手早く導入できるようになりました。
最近では、ジェネリック医薬品やバイオ後続品(バイオシミラー)が定着しているので、薬の価格も考慮してフォーミュラリーを作成しています。
薬剤師は、以前から薬の用法や用量、飲み合わせなどを確認して調剤していましたが、今ではフォーミュラリーに基づいた薬の選択を、医師へ提案・支援することも多くなっています。
これらの場面は患者さんの目に触れることは少ないため、アンサングな(世の中に知られていない)業務といえるでしょう。
投与量の調節
投与量を細かく調節する薬では、それぞれの患者さんにおける血液中濃度(血液中にある薬の濃度)を測定し、投与する量や回数(間隔)を計算しています。
当院では、12種類の薬の血液中濃度を院内で測定しています。その結果から、患者さんごとに投与計画を作成し、医師の処方設計をサポートしています。
薬の血液中濃度は、服用後の時間経過に伴って変わるため、次に薬を服用する直前に採血して、濃度を測定することが一般的です(図2)。そのため、対象の薬を服用している患者さんには、来院日の朝の薬を院内で服用してもらうことがあり、ご協力をお願いしています。
薬の正しい使い方
入院患者さんが安心して薬を服用できるように、病棟薬剤師は、薬剤管理指導を行っています。薬の使用目的、用法・用量、副作用などをわかりやすく伝えています。
副作用が避けられない場合でも、事前にわかっていれば対策を立てやすく、早期発見にもつながります。また、薬剤師は患者さんに「薬を服用できているか」「体調に変化はないか」などを確認しています。医師や看護師と連携して、治療の妥当性を評価しています。
外来で行うがん薬物治療においても、同じように薬剤管理指導を行っています。その結果、医師と相談して薬が変わることもあります(図3)。
もし薬についてわからないことがあれば、薬剤師へお気軽にご相談ください。
更新:2023.10.26