愛媛県がん診療連携協議会を主催 より良い診療連携体制とがん診療のレベルアップのために

四国がんセンター

形成・再建・皮膚腫瘍外科

愛媛県松山市南梅本町甲

愛媛県がん診療連携協議会の役割

当院は原則として都道府県に1つ、国から指定される「都道府県がん診療連携拠点病院」です。愛媛県には、ほかに6つの国指定の「がん診療連携拠点病院(拠点病院)」と8つの県指定の「がん診療連携推進病院(推進病院)」があります。いずれも県内どこでも、質の高いがん医療が提供できることを目指して指定されました。

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当院は、「都道府県がん診療連携拠点病院」の役割として、「愛媛県がん診療連携協議会(協議会)」を議長病院として開催しています。この協議会には全拠点病院と推進病院、2つの緩和ケア病棟を持つ病院、さらには行政として愛媛県、がん患者会の代表が参加しています。

愛媛県では全拠点病院・推進病院を合わせると、県内の9割ほどのがん患者さんを診療していることが分かっています。会を持つことによって、愛媛県内のがん診療に対する協力体制を作り、自地域で質の高いがん診療を受けられるように活動することを目的としています。

協議会の役割は「がん診療連携拠点病院の整備に関する指針」に基づきます。幹事会で拠点病院間の方針などを話し合い、役員会で承認します。その下には、7つの専門部会を設け、より高度ながん医療が提供できるように、さまざまな取り組みを行っています。愛媛県の協議会は活発な活動を行っており、全国のモデルケースとされることもあります。

専門部会の活動が愛媛県のがん診療を進歩させてきました

7つの専門部会は、各々の参加病院から、その分野の専門家が参加して構成されています(図)。

組織図・写真
図 愛媛県がん診療連携協議会組織図
  • PDCA(Plan → Do → Check → Act)部会は、県内各施設で医療体制を評価、改善計画を立案・実施し、診療体制の充実とレベルアップを目指します。
  • がん地域連携専門部会は、拠点病院・推進病院間の連携推進だけでなく、それぞれの病院が中心となり各地域で医療機関との連携を図ることで、愛媛県全体のがん診療の均てん化(*)を目指しています。
  • 緩和ケア専門部会は、「いつでもどこでも緩和ケア」というスローガンのもと、愛媛県の緩和ケアの提供体制と質の向上を目指し、緩和ケアにかかわるスタッフが集まり、グループワークを行っています。
  • がん相談支援専門部会は、県内で実施されているがんに関する情報提供と相談支援体制の機能強化と質的向上を目的にしています。がん相談員研修会の開催、がんサロン担当者の交流・検討会の開催、チェックリストの実施、相談支援の広報活動を行っています。
  • がん登録専門部会は、拠点病院・推進病院の義務である院内がん登録の精度向上や利用促進のための事業を行っています。部会で作成するがん登録の冊子によって県内のがん診療のあらましが分かります。
  • がんの集学的治療専門部会は、がん治療を実際に行う医療者の円滑な活動の支援や医療者間の情報共有を目的とした部会です。がん治療に携わるスタッフが連絡を取り合い、より良いがん治療を目指した活動を行っています。
  • がん看護専門部会は、県内のがん看護にかかわる看護師の資質向上と、がん看護実践レベルの均てん化を目的とし、がん看護実践力の向上のため、研修会等の開催を通して人材育成に努めています。また県の委託で県内のがん患者のためのポータルサイト「がんサポートサイトえひめ」を作成中です。

* 均てん化/全国どこでもがんの標準的な専門医療を受けられるよう、医療技術などの格差の是正を図ること

がん診療連携協議会における当院の役割

協議会は当院の組織ではなく、すべての拠点病院・推進病院が共に連携するための組織です。しかし、協議会議長としての当院の役割は、直接の診療活動ではありませんが、大変重要なものだと考えています。県内多施設のがん診療に携わる専門的な知識を持つ関係者が一同に集まって協議する枠組みはこれが唯一のもので、行政では行いきれない種類のがんに対する施策を話し合ったり、実行したりするためには協議会を生かすしかないからです。

当院からは医長以上が必ずどこかの専門部会に参加し、専門性を生かして県のがん診療の水準向上に寄与することを目指しています。各々の専門部会長は当院から配置し、専門部会が共働して事業を行いやすい体制となっています。

更新:2022.03.10