禁煙のすすめ ニコチン依存症と闘う

四国がんセンター

呼吸器外科

愛媛県松山市南梅本町甲

百害あって一利なし!がんだけじゃないタバコの毒性

タバコの煙には70以上の発がん性物質が含まれています。タバコは肺がんだけではなく、食道がん、喉頭(こうとう)がん、膀胱(ぼうこう)がんなど、多くのがんになる危険性を上げます。男性のがんの約3割が喫煙のために起こっているとされています。「がんになったらそれまで」という考えでタバコを吸い続ける人がいますが、実際にがんになったら後悔している患者さんがほとんどです。がんだけではなく、心臓病、脳卒中、肺気腫(はいきしゅ)になる危険性も大きく上げます。

喫煙者は非喫煙者よりも10年短命で、健康寿命も4年近く短くなります。喫煙者本人だけではなく、周囲の人も受動喫煙によって、これらの病気になる危険性が上がります。最近の論文によると、国内で毎年1万5000人の方が受動喫煙を原因とするがんで亡くなっているとされています。

タバコは依存症をつくるための巧妙な製品

喫煙者の多くは「ニコチン依存症」です。禁煙外来を受診する患者さんは「依存症」という言葉に違和感を持ち、否定する方も少なくありません。

タバコを吸うと、ニコチンが、脳にある脳内報酬回路という部位を介して、快感をもたらします。ニコチンが切れるとその反動で強いストレスを感じます。タバコが吸えないときのイライラ感はそのためです。それを解消するために、またタバコを吸います。そして習慣化されるのです。

イラスト
図 脳内報酬回路とニコチン

実は脳内報酬回路は、誰かに褒められることなどでも刺激されますが、喫煙者はこのような日常的なことでは、快感を得られなくなっています。また、タバコのニコチンは喫煙を始めて6〜8秒で脳内に達します。このスピードが強い依存形成をもたらすのです。

日本はタバコの規制が緩く、コンビニエンスストアに入るときれいに陳列されたタバコが目に飛び込んできます。依存症を断ち切るには悪い環境です。

ぜひ、禁煙外来のある施設を受診してください。当院の禁煙外来では、禁煙補助薬やカウンセリングなどで禁煙の手助けをしています。タバコが止められないのは意志が弱いからではありません。禁煙外来でニコチン依存症を治療しましょう。

更新:2022.03.10