がんと闘う四国がんセンター 最先端の研究と技術で闘う

四国がんセンター

泌尿器科

愛媛県松山市南梅本町甲

闘いに必要なもの――道具と作戦

強敵と闘う場合には道具と作戦が必要です。素手で闘うしか方法がなかった時代、倒せる相手は限られていました。人はより強靭な相手と闘うために、さまざまな道具を創作し緻密な作戦を立てて困難な状況を打破してきました。医学界も同じで、これまでに数多くの画期的な発明や発見をし、飛躍的に進歩させてきました。ペニシリン、X線、ワクチンなどが代表例です。

さて、当院はどうでしょう。私たちの最大の敵はもちろん「がん」です。現在、がんと闘うために利用できる主な道具は、手術と放射線、そして抗がん剤です。これらの道具は日々進化を続けています。

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当院では、新しい道具が開発されれば積極的に取り入れ、それらを駆使するために作戦を立て直して敵に向かっています。これまでは歯が立たなかった強敵にも立ち向かえるようになり、中には完全に勝利をつかんだものもあります。何より大事なのは、これら闘いの中で得た知識を次の作戦に生かしながら「がん」と闘っていることです。私たちには膨大な作戦が蓄えられています。

最先端の手術・放射線・抗がん剤治療

手術に関しては、内視鏡機器の開発と進歩が挙げられます。従来では開腹手術しかなかった外科手術にも腹腔鏡(ふくくうきょう)が導入され、小さな傷で従来の開腹手術と同じ手術が可能になりました。大画面に拡大された視野が映し出され、術者と同じものが見える点では腹腔鏡手術の方がはるかに有利です。また、最近ではロボット支援手術が普及し、これまで想像もできなかったほど手術は大きな転換期を迎えています。当院では、これらの変化にもいち早く対応しています。

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放射線治療に関しても機器の発展は欠かせません。初期の放射線照射装置は精密な照射ができませんでしたが、コンピューター制御で治療範囲の設定が可能になった放射線照射装置をいち早く導入し、精度の高い放射線治療を行ってきました。放射線照射装置は2018年に最新機種に更新され、これまで以上に高精度な照射が可能になりました。

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抗がん剤治療に関しては新薬創生のため臨床試験に参加し、開発の早期の段階から関与してきました。また、従来からの治療と新しい治療との比較を行い、新しい治療法を確立する臨床試験にも数多く参加してきました。そのため、新薬に対してもより早期から情報を得ることができ、作戦も練っています。多くの患者さんが安心して、抗がん剤治療を受けられるように、経験を積み闘ってきました。手術や放射線治療、さらには抗がん剤を組み合わせた集学的治療も作戦の中に加わり、闘える相手も増えてきました。

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見えない敵と闘う――リスク管理

当院は、目に見えない敵とも闘っています。それは「リスク」です。病院は安全でなくてはいけません。これは誰もが考え実現しなくてはならないことです。しかし、現実はそれほどたやすいことではありません。安全に対する研究が進むと、「人は誰でも間違える」という考えが定着してきました。確かにそうですが、それで済ますわけにはいきません。病院では患者さんの生命の危機に直結する可能性があるからです。安全とは何でしょうか?

安全とは、「受容できないリスクがないこと」と定義されています。このことから、安全な医療とは、「受け入れられるくらい低いレベルのリスクを伴った医療」ということになります。だからといって、リスクを冒して良いということではありません。

繰り返しになりますが、病院は安全でなければなりません。そのために病院内には、医療安全部門が設置されています。ここでは院内のリスク収集と分析から、問題の把握と業務改善を行い、リスクの軽減に努めています。医療安全は縁の下の力持ち、いわば土台です。ここがしっかりしていなければ、がんと闘うこともできません。患者さんのみならず医療スタッフが安全に働けるように、医療安全部門は見えない敵と闘っているのです。

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近い将来、医療界にも人工知能が導入され、さらに進歩した時代がやってくると予測されます。

当院は「がん」と闘う姿勢を崩さず、さらなる強敵に挑んでいきたいと思います。

更新:2024.01.25