骨軟部がんと闘う 脂肪、筋肉、血管や骨などに発生するがんもあります

四国がんセンター

骨軟部腫瘍・整形外科

愛媛県松山市南梅本町甲

肉腫についてご存じですか?

内臓にできるがんに比べ、頻度(ひんど)は10分の1以下になりますが、腕や脚にもがんが発生します。ほとんどのがんは、脂肪や骨などが由来の肉腫(にくしゅ)と呼ばれるものです(「がんってなに?」参照)。肉腫の中でも骨肉腫の場合、1980年ごろまでは病気が発生した脚を切断しても約80%の方が亡くなっていました。しかし薬物療法の進歩で、現在では約80%の方が助かるようになりました。また、脚を切断することはほとんどなくなり、人工関節などで置き換えて機能を保つ手術が行われています(図)。

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図 大腿骨にできたがん(肉腫)を切除し、人工関節などで置換して機能を温存しています

成人では皮膚の下や、筋肉、脂肪内にできる脂肪肉腫、滑膜肉腫や平滑筋肉腫などが多く、治療は手術療法が中心です。最近、新薬が何種類か登場し、手術で切除できない場合でも病気の進行を遅らせることや、長く生きられるようになってきています。

骨に転移すると骨折や麻痺が生じることがあります

肺がんや乳がん、前立腺がん、腎臓(じんぞう)がんなどが進行した場合、もとの場所から離れて別の臓器に広がってしまうことがあります。これを転移といいますが、骨では脊椎(せきつい)や肩や股関節(こかんせつ)周辺に転移することがほとんどです。

骨に転移したがんが正常な骨を壊すことがあり、その強度が弱くなることや骨の外に広がることで、骨折や麻痺(まひ)症状を引き起こすことがあります。脊椎に転移した場合、脊髄(せきずい)神経を痛めることで歩き難くなるなどの麻痺が起こることがあります。

このような骨折や麻痺が起こると、日常生活に支障をきたし、介護などが必要となるため大きな問題となっています。最近は骨を壊れにくくする点滴や注射剤が開発され、骨折や麻痺の予防に一定の効果が認められています。

また当院では、骨転移の患者さんをすべて登録し観察を行い(骨転移登録システム)、放射線治療や手術を有効に組み入れることで、骨折や麻痺を未然に予防する取り組みを行っています。

更新:2024.01.25