正確な進行期診断と標準治療指針にもとづいた子宮がんの集学的治療

済生会吹田病院

産婦人科

大阪府吹田市川園町

子宮がんについて

子宮は下腹部の中央にある、胎児を育てるための袋状の臓器で、体部と頸部(けいぶ)に分けられます。それぞれの場所に全く異なる性質のがんが発生します(図)。

図
図 子宮にできる主ながん

子宮頸がん

HPVというウイルスの感染が原因であらゆる年齢に発症します。不規則な出血が主な症状ですが、子宮がん検診を欠かさなければ早期に見つかります。がん細胞の種類や進行度により治療法が異なるため、拡大鏡検査(コルポスコピー)で観察し、一部切り取って顕微鏡検査で診断します。そのほかに腫瘍(しゅよう)の大きさや広がり、リンパ節や肝臓などへの転移を検査するためMRIやCTも必要です。

がんになる前段階や初期がんの場合には、子宮頸部をくり抜く手術(円錐切除術(えんすいせつじょじゅつ))で治療できます。治療には手術のほかに放射線療法・化学療法(抗がん剤)があり、がんの種類・進行度・年齢・持病などにより、組み合わせて選択します。

子宮体がん

主に女性ホルモンの影響で発症するとされ、妊娠経験のない50歳以降の肥満女性に多い傾向があり、食生活の欧米化や晩婚・少子化などで急激に増加しています。

主な症状は閉経後の出血ですが、閉経前でも不規則出血にまぎれている場合があるため注意が必要です。診断には子宮内部の細胞検査や組織検査(細胞のかたまりを取る)が必要で、がんの広がりを調べるMRIやCTも必要です。頸がんと同様に手術・放射線療法・化学療法(抗がん剤)の組み合わせで治療しますが、多くの場合、初回治療は手術となります。手術後に必要であれば放射線療法や化学療法を追加します。

当科の診療の特徴

それぞれのがんについて定められた国内の治療ガイドライン(指針)に沿って治療を行います。当院では婦人科がん治療の学会に参加し、年々進歩する最新の治療法を取り入れています。方針を決める際には、治療法の短所や危険性などの情報も提供し、患者さんや家族の同意が得られた範囲で最善を尽くします。

子宮を広く切除する大きな手術では、消化器外科や泌尿器科の協力を得て効果の高い治療を提供し、輸血や手術後の合併症を少なくする工夫をしています。放射線治療は放射線科と協力して行いますが、特殊な放射線治療は他施設と共同で行う場合もあります。手術後も不具合や再発が生じていないか外来通院で確認し、責任を持ってケアします。

更新:2024.10.29