肥満に注意!肥満はがんや炎症など万病のもと

済生会吹田病院

消化器内科

大阪府吹田市川園町

肥満とは?

肥満とは脂肪組織が過剰に蓄積した状態のことをいいます。肥満の基準はBMI(body mass index)で表され、BMIは体重(㎏)÷(身長〈m〉×身長〈m〉で計算されます。身長170㎝体重76㎏の方のBMIは76÷(1.7×1.7)=26.3となります。肥満は「表」のように定義され、日本人ではBMI23~24.9が最も死亡率が低く、過剰な肥満はもちろん、痩(や)せも要注意です。

BMI 分類
<18.5 やせ
18.5~25 普通
25 ~ 30 肥満レベル1
30 ~ 35 肥満レベル2
35 ~ 40 肥満レベル3
>40 肥満レベル4
表 肥満の定義

肥満には「皮下脂肪型肥満」と「内臓脂肪型肥満」があります。皮下脂肪型肥満は洋ナシ型肥満(下腹部、腰回り、太もも、お尻に脂肪が蓄積)で、中年女性に多い肥満です。内臓脂肪型肥満は腹囲(お臍(へそ)の周りで測定)でも評価できます。女性は腹囲90㎝以上、男性は85㎝以上、ウエストとヒップ比が女性で0.8以上、男性で1.0以上は内臓脂肪型肥満で、それ以下が皮下脂肪型肥満といわれています。

メタボリックシンドローム(メタボリック症候群)とは、内臓脂肪型肥満、高血糖、高血圧、脂質異常症の2つ以上を有する場合をいい、4つともある場合は「死の4重奏」といわれ、心筋梗塞(しんきんこうそく)、脳卒中の危険性が極めて高く、種々の炎症や発がんの危険性も高くなります。

皮下脂肪には白色脂肪細胞が、内臓脂肪には褐色脂肪細胞がたくさん存在し、白色脂肪細胞は小型であまり悪さをしませんが、褐色脂肪細胞は大型でさまざまな物質(アディポサイトカイン)を分泌し、その一部は生体に悪影響を及ぼします。腹部単純CT検査(お臍の位置の断層写真)で簡単に内臓脂肪量と皮下脂肪量を測定でき、内臓脂肪面積が女性90㎠、男性100㎠以上あれば内臓脂肪型肥満と診断します(図)。

図
図 濃い緑色が内臓脂肪、薄い緑色が皮下脂肪。この患者さんはBMI35.6と顕著な肥満者で内臓脂肪、皮下脂肪ともに多量

肥満者によくみられる病気が最近話題の非アルコール性脂肪肝炎(NASH)で、飲酒をしないのに大量飲酒者のアルコール性肝炎と類似の肝病変を呈する疾患です。この病気の発症・進展に内臓脂肪細胞が関与し、内臓脂肪細胞が分泌する物質がインスリンの利きを悪くして(インスリン抵抗性)、動脈硬化、炎症の惹起(じゃっき)、発がんなどに関与します。

更新:2022.03.16