チーム医療と麻酔科

済生会吹田病院

麻酔科

大阪府吹田市川園町

麻酔科の仕事

麻酔科では、さまざまな麻酔方法を用いて当院で手術を受ける患者さんの生命の安全を保っています。毎年2500例以上の麻酔管理を行い、外科系各科、集中治療室(ICU)、臨床工学士(ME)、薬剤師、そして手術室看護師などと連携して、患者さんが安全に手術を受け回復するよう、手術前より入念なリスクチェックを行い麻酔計画を立案しています。

近年、麻酔薬や技術の進歩により麻酔の安全性は格段に向上しています。これまでは手術の適応ではなかった、さまざまな臓器に問題を抱えた患者さんも手術が可能になりました。そういった患者さんの手術に際しても細心の注意を払い、合併症を極力減らし、患者さんがベストの状態で安全に手術を受けられることを最優先に考え、日々業務を行っています。

手術終了後の仕事

手術が終了して麻酔から覚めたときに、患者さんが最も心配されるのは傷の痛みです。これに対処するため硬膜外麻酔を行います。背骨の中にある脊髄(せきずい)神経を包む硬膜の外の空間に局所麻酔薬を注入することにより、傷を中心に痛み止め効果が得られ、胸部や腹部の手術後には非常に有効な麻酔方法です。

しかし、患者さんの常用薬の影響で硬膜外麻酔が施行できない場合があります。そういった場合や肩・四肢(しし)の手術を受ける患者さんには、超音波ガイド下の神経ブロック法を適用しています(図)。この方法は、超音波画像により注射針と神経の位置関係を見ながら、目的の神経に麻酔を行います。従来の方法に比べ、安全性や確実性が格段に向上しました。

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図 神経(⇧)と血管の間のスペースに針(▽)の先端が確認できます。このように、超音波画像で血管、神経の位置関係を確認しながら、針を操作します

ロボット手術の麻酔

泌尿器科が行う内視鏡手術支援ロボットによる前立腺全摘出術の麻酔管理も行っています。この手術はがんの根治性(こんちせい)の向上はもとより、尿失禁などの合併症の軽減が期待されています。また手術中の大きな利点としては、出血量が非常に少ない点が挙げられます。手術中の特殊な体位による問題点を克服することで、ロボット手術の利点を最大限に生かせるよう泌尿器科医師とも協力し取り組んでいます。

今後、当院では胸部外科、消化器外科、そして婦人科領域でロボット手術を導入する予定です。

重篤な患者さんなどの麻酔後の対応

脳神経外科、胸部外科、腹部外科、そして手術部位以外の臓器に問題を抱えた患者さんには手術後ICUに入室していただきます。

ICUとはIntensive(集中)Care(治療)Unit(室)の略で、内科系、外科系を問わずさまざまな分野の医師、看護師、薬剤師、臨床工学士、理学療法士、栄養士など多くのスタッフが力を結集して、1人の重症患者さんの治療にあたります。専門の医師が24時間常駐し、患者さん2人に対し専門看護師が1人配置され、患者さんの小さな変化でも即座に把握し、最良の医療を提供できる体制をとっています。

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更新:2024.11.07