卵円孔開存(PFO):卵円孔開存(PFO)閉鎖術

札幌孝仁会記念病院

循環器内科、心臓血管センター

北海道札幌市西区宮の沢

原因不明の脳梗塞をカテーテル治療で再発予防

卵円孔(らんえんこう)は、赤ちゃんがお腹(なか)の中にいる間、胎盤(たいばん)からの血液を右心房から左心房に送り込むためのトンネルです(図-A)。生まれると自然に閉じますが、4〜5人に1人では「押すと開く隙間」の状態で残っています。これが卵円孔開存(PFO)です。

図
図 卵円孔開存について
(画像提供:アボットジャパン合同会社)

足の静脈に血の塊(かたまり)(血栓(けっせん))ができ、それが血流にのって心臓まで達すると、PFOを通って血栓が大動脈から脳まで到達して脳梗塞(のうこうそく)を起こすことがあります。これが卵円孔開存関連性脳梗塞です(図-B)。比較的若い人に起こり、原因不明の脳梗塞(潜因性脳梗塞)と診断されることが多く、薬では再発が予防しきれないという問題がありました。

カテーテル(医療用の細い管)によるPFO閉鎖治療では、形状記憶合金のワイヤーを編み込んでつくった2枚のディスクからなる閉鎖栓で挟み込むことによって隙間を塞(ふさ)ぎます(図-C)。これによって脳梗塞の再発を抑えられることが明らかとなったため、一気に注目されました。

ブレインハートチーム

手術手技は全身麻酔もしくは局所麻酔で行われ、たいてい1時間で終わります。この治療が適合するかどうかは、術前に検査をして吟味します。当院では、循環器内科と脳神経外科がタッグを組んだ「ブレインハートチーム」で対応しています。

更新:2025.02.06