皮膚悪性腫瘍:切り取るだけじゃない!見た目も大切にした再建手術

札幌孝仁会記念病院

形成外科

北海道札幌市西区宮の沢

皮膚がんについて

皮膚がんは長期間にわたる日光への暴露(さらされること)との強い関連が知られており、主に高齢者の顔面に発生します。診断は主に視診で行いますが、必要に応じて一部小さく組織を採取して病理組織検査にて診断します。

治療としては主に手術による切除が必要で、抗がん剤や放射線治療など手術以外の方法のみでの治療はほとんど行われていません。手術に関しては、体表面の操作が主であり体への負担も少ないので、小さなものであれば局所麻酔での日帰り手術も可能です。

皮膚がんのなかでも頻度の高い基底細胞(きていさいぼう)がんや有棘細胞(ゆうきょくさいぼう)がんであれば、多くの場合適切な切除が行われれば根治(こんち)(完全に治すこと。治癒)可能です。悪性黒色腫(あくせいこくしょくしゅ)など化学療法の併用が必要な腫瘍(しゅよう)が疑われる場合には、専門的加療が可能な皮膚科併設の施設へ紹介します。

皮膚がんは皮膚科じゃないの?

診断という分野に関しては皮膚科の先生のほうが得意かもしれませんが、形成外科の強みは手術にあります。小さなものであれば切除後に直接縫い合わせて創(きず)を閉じることが可能ですが、顔面ではまぶたや唇、鼻など単純に縫い合わせることができない、あるいは縫い合わせることで不都合の起きる部位も多いです。

顔面は特に人目につきやすい部分であり、社会生活を送るうえでその見た目が非常に重要になります。「命は助かったけれど、こんな顔では人前に出られません」といった事態になりかねません。形成外科では、単純に創を縫い合わせるだけでなく、切除によって欠損した部分に隣接した部位、時には離れた部位から、血の通ったまま組織を移動させて、できるだけもとの状態に近いかたちにパズルのように組み立て直す(再建)ことができます。単純な縫合に関しても、より目立たない細い瘢痕(はんこん)(きずあと)で済ませることが可能です。

図
図 眼瞼再建
皮膚がんにより上眼瞼(じょうがんけん)(上まぶた)を切除した症例。下眼瞼(かがんけん)(下まぶた)を一部つながったまま上眼瞼に移植し、後日切り離すことできちんと目が閉じられるようになりました

皮膚がんだけじゃないよ

皮膚がんに限らず、その他のがんやけがで生じた欠損を再建するのも形成外科の大事な役割です。わかりやすい例では、乳がん切除後の乳房再建があります。進行したがんで、切除範囲が大きくなるために手術が困難であった症例でも、形成外科が再建を担当することで手術が可能となる場合があります。

更新:2025.02.06