禁煙外来
釧路孝仁会記念病院
リハビリテーション科
北海道釧路市愛国
タバコと病気の関連性
タバコには5,300種類の化学物質が含まれており、そのうちの200種類が有害物質、60種類が発がん物質です。吸い続けると、さまざまながんになる可能性が高まります。例えば、喉頭(こうとう)がんは吸わない人の32倍、肺がんは5倍かかりやすくなります。最終的には吸い続けると肺気腫(はいきしゅ)となり、在宅酸素が必要になることもあります。
タバコは止めることができません。なぜかというと有害物質の1つのニコチンが原因です。タバコを吸うと、ニコチンが10秒くらいで頭の快楽中枢に働いて気持ちよくなります。15分ぐらいは良いのですが30分ぐらいするとニコチンが切れてきて、イライラします。それを繰り返します。
タバコを吸う人は麻薬中毒と同じで、止められないのでニコチン依存症という病名がついています。ニコチンはヘロインやコカインよりも依存性が強いといわれています。麻薬中毒も麻薬を止めない限り治りませんが、ニコチン依存症もタバコを止めない限り治りません。しかしながらタバコを止めるのは簡単ではありません。そこで楽に止める補助手段があります。禁煙補助療法です。
禁煙補助療法とは?
禁煙補助療法には、ニコチンパッチとパレニクリン錠がありますが、現在、飲み薬のパレニクリン錠は手に入りにくい状況です。ニコチンパッチにはニコチンだけが含まれており、貼るとニコチンが吸収されて気持ちよくなり、タバコを吸わなくて済むようになります。
パッチには30mg、20mg、10mgの3種類があって、30mgを4週間、20mgを2週間、10mgを2週間、計8週間で禁煙の成功をめざします。

もちろん、「止めよう、絶対止めたい」という強い意志が重要です。
パッチを貼るとニコチンが体に吸収されて、吸わなくて済むのですが、口がさみしいこともあるので、ガムを噛んだり、飴玉を舐めたり、禁煙パイポを加えたりして紛らわすことが必要です。
パッチは刺激性が強いので、毎日貼る場所を変えます。例えば、今日は左胸で次の日は右胸、その次は左わき腹、さらに次は右わき腹という具合です。腕の高い位置や肩に貼る人もいます。風呂に入ると剥(は)がれることがあるため、風呂から上がってから貼るとか、お湯につからないように高い位置に貼るなどの工夫が必要です。禁煙の成功率は70%です。
また、禁煙に成功すると咳(せき)や痰(たん)が全く出なくなりますが、これらの症状はタバコの影響です。禁煙に成功してもタバコを1本でも吸うと、また吸い出してしまいます。絶対に吸わないことが大切です。
電子タバコも煙が有害であるため、サンフランシスコでは販売が禁止されています。同様に、シンガポールやブラジルでも電子タバコの製造、輸入、販売が一切禁止です。
また、日本のタバコの値段は先進国の中では安い方とされ、イギリス、ノルウェー、カナダでは1箱2,000円ほどになります。一方で、禁煙外来にかかる費用は3割負担の方で1万5,000円です。タバコ1日20本吸っている方は、年間で20万円はかかっています。禁煙すれば倹約できるだけでなく、健康になれます。吸う場所を探さなくて済みます。ぜひ、禁煙しましょう。応援しています。
更新:2024.05.31