脳卒中に特化した集中治療室SCU
釧路孝仁会記念病院
脳神経外科
北海道釧路市愛国
SCUとは脳卒中専門の集中治療室です。症状が進行したり、急変したりすることもある脳卒中診療の中で、専門スタッフによる24時間365日体制で対応しています。脳卒中専門医や看護師、リハビリテーション(以下リハビリ)スタッフなど複数の医療職で構成され、専門的治療を行っています。
脳卒中とSCUで行われる治療について
脳卒中とは急性期(※1)の脳血管障害のことです。大まかに血管が詰まる脳梗塞(のうこうそく)、脳内の血管が破れ出血する脳出血、動脈瘤(どうみゃくりゅう)が破裂することによって脳の周囲に出血するくも膜下出血(まくかしゅっけつ)に分けられます。
脳梗塞や脳出血では、右もしくは左どちらかの手足の運動麻痺(うんどうまひ)、ろれつの回りにくさ、言葉が出なくなるなどが主な症状です。くも膜下出血は突然生じる激しい頭痛や嘔吐(おうと)が特徴です。いずれも迅速な診断と治療が重要となります。
SCUではこういった脳卒中への治療を行っています。脳梗塞では血管がそれ以上詰まらないように、血をサラサラにする点滴や薬で治療します。脳出血では出血が大きくならないように血圧を下げて止血を図ります。また大きく出血し、周りの脳を圧排(押している)しているときは、出血を取り除く手術を行うこともあります。
くも膜下出血では再出血をきたすことがあり、その予防に動脈瘤を金属のクリップで挟んだり、金属のコイルで動脈瘤を詰めたりする手術を行います。
※1 急性期:病気・けがを発症後、14日以内(目安)。不安定な状態
SCUでの脳卒中治療を支える医療スタッフたち
脳卒中は症状が進行したり急変したりすることがあります。動くことができない患者さんも多く、床ずれができてしまうこともあります。
SCUでは看護師たちにより、状態が変化していないかの看護評価やケアを行います。状態の悪化が疑われる場合には、医師や看護師により追加の治療や手術を行うこともあります。
一度発症した脳卒中は、薬や手術では症状を回復することはできません。脳卒中の後遺症を少しでも改善するために専門のリハビリスタッフにより、積極的にリハビリを行って麻痺や言葉の回復を図っています。
SCUはこういった複数の医療スタッフにより、脳卒中の患者さんへ常に治療を提供しています。

道東地方で初めてのSCU病棟
当院では、2018年5月に道東地方で初めてとされる脳卒中ケアユニット(SCU:Stroke Care Unit)が12床開設となり、2023年で5年目を迎えました。
SCUとは、急性期の脳卒中(脳梗塞、脳出血、くも膜下出血)の患者さんを受け入れる専用の病棟で、医師、看護師、リハビリテーション療法士らの専門チームにより、発症早期から24時間体制で集中的に治療を行っています。
SCUには年間500人以上の脳卒中の患者さんが入院し、必要な検査、治療、リハビリを早期から開始します。看護師は常に3対1(患者3人に看護師1人)以上勤務しており、患者さんの変化を早期に発見できるように努めています。

今後も、地域医療を支える多くの方々と連携を深め、当院の理念でもある「患者さまが安心してかかれる、患者さまを安心してあずけられる病院」をめざし、常に最新の医療が提供できるよう日々邁進していきたいと思います。
更新:2024.05.23