腰椎椎間板ヘルニア:腰痛後、片側の下肢痛やしびれがきたら腰椎椎間板ヘルニアかも
札幌孝仁会記念病院
脊椎脊髄外科
北海道札幌市西区宮の沢
椎間板ヘルニアとは
せぼね(脊椎(せきつい))は、椎骨(ついこつ)と呼ばれる骨が連結してできており、通常、腰のせぼねは5個の骨(腰椎(ようつい))があります。せぼねの骨と骨の間に衝撃を和らげるクッションの役割を果たす椎間板(ついかんばん)があります。椎間板の中にはゼリー状の髄核(ずいかく)があり、まわりを線維輪(せんいりん)という軟骨が囲んでいます。
椎間板は、髄核の水分量(若いときには約9割が水分といわれています)が減少し、変性(歳をとると組織が劣化する)し弾力を失うと、重さの負荷などで亀裂が入って、髄核の一部が飛び出します。この押し出された髄核が、馬尾神経(ばびしんけい)(脊髄(せきずい)の下端から下に向かって伸びている神経の束)を圧迫するため、腰に痛みが生じます。さらにどんどん押し出されると、足に向かう神経をさらに圧迫して、足の痛みやしびれがだんだん強くなってきます。この髄核が飛び出した状態を、腰椎椎間板(ようついついかんばん)ヘルニアといいます。
腰椎椎間板ヘルニアは、高齢者よりも20〜40歳代にかけての比較的若い男性に多い病気です。前かがみや中腰の姿勢を長時間続けたり、重たいものを急に持ち上げたりしたときなどに発症することが多いです。
腰椎椎間板ヘルニアの症状、診断、治療
腰椎は5つありますが、重みの負荷がかかりやすい第4腰椎と第5腰椎の間にある椎間板(L4/5と表記)と第5腰椎と仙骨の間にある椎間板(L5/S1と表記)で、腰椎椎間板ヘルニアが起こりやすいです。椎間板ヘルニアが圧迫する神経によって痛みやしびれの場所が違います(図)。

L4/5椎間板ヘルニアでは、ふくらはぎの外側から足の親指にかけて、L5/S1椎間板ヘルニアでは膝の後ろ側から足の裏側にかけて、痛みやしびれが起こりやすいです
診察では、患者さんの症状の経過を聞き取り、医師による神経診察を行います。腰椎MRI検査が有効で、透視やCT検査を行って、より精査することもあります。
治療には薬物治療、リハビリ、神経根ブロック、椎間板内酵素注入療法(ヘルニコア)、手術治療があり、痛みの程度や患者さんの症状に応じて治療法を選びます。
手術治療には、従来の3〜5㎝程度の切開で行うLOVE(ラブ)法、2㎝程度の切開でチューブを挿入して行うMED法、最近では1㎝程度の切開で内視鏡内で特殊な手術器具を挿入して行う、全内視鏡下椎間板摘出術(FED法)などがあります。
更新:2024.07.29