健診での尿検査について

済生会吹田病院

腎臓内科

大阪府吹田市川園町

皆さん、健診を受けていますか?

慢性腎臓病(まんせいじんぞうびょう)、腎代替療法について(「慢性腎臓病に気をつけましょう」「”腎代替療法”って何ですか?」)説明しました。ここでは、慢性腎臓病を含めた腎疾患の早期発見に重要な具体例として、健診での尿検査についてお話しします。

多くの方が健康診断を受けたことがあるかと思います。そしてその際に尿検査があったことを覚えているでしょうか?尿検査の特徴としては、何といっても簡便であることです。慢性腎臓病の定義(表)をもう一度みますと、「特に蛋白尿(たんぱくにょう)の存在が重要」と書かれています。なぜ蛋白尿の存在が重要なのかを述べます。

①尿異常、画像診断、血液、病理で腎障害の存在が明らか、特に0.15g/gCr 以上の蛋白尿
(30mg/gCr 以上のアルブミン尿)の存在が重要
②GFR<60mL/ 分/1.73 ㎡
①、②のいずれか、または両方が3ヵ月以上持続する
表 慢性腎臓病の定義(出典:『CKD診療ガイド2012』社団法人 日本腎臓学会編著、東京医学社、2012年)

蛋白尿の重要性について

皆さんが検尿を受けた際の検査結果が、どのように表記されるかについて説明します。もし、これまでに受けた健診結果があれば、一緒に確認してみてください。

尿蛋白は(-)~(3または4+)と表記されることが多いです。そして(-)は正常、+−、1+、2+、3+、4+は尿蛋白が正常を超えて現れていることを意味し、数字が大きいほど、一般的には尿蛋白量が多いとされています。

尿蛋白があると腎機能障害の進行の速さに関係します。尿蛋白が正常な患者さんと尿蛋白を認める患者さんとで、将来の腎機能がどうなるか比較すると、尿蛋白を認める患者さんの方が、正常な患者さんより、腎機能障害の進行が速いといわれています。そして、尿蛋白を認める患者さんの中で、尿蛋白量が多いか少ないかで比較してみると、尿蛋白を多く認める患者さんの方が、将来の腎機能障害の進行が速いといわれています。

いずれも”将来”の腎機能障害としていますが、尿蛋白を認める患者さんの”今”の症状としては、3+や4+などの非常に多い尿蛋白量であれば、むくみなどの症状が出る場合もありますが、一般的には日常生活に支障をきたすような症状はありません。

繰り返しになりますが、慢性腎臓病を含めた腎疾患は初期段階では日常生活に支障が出ることが少ないため、皆さんの将来のために、健康診断等での尿検査を積極的に利用して、異常がないことを確かめたり、異常が疑われる場合は、早期に病院を受診して、腎疾患の早期発見と適切な治療を受ける機会を逃さないようにしましょう。

更新:2024.01.26