”腎代替療法”って何ですか?

済生会吹田病院

腎臓内科

大阪府吹田市川園町

“透析療法”って何ですか?

前項でまず慢性腎臓病(まんせいじんぞうびょう)を早期発見し、予防することがとても大事であると説明しました「慢性腎臓病に気をつけましょう」。しかし、早期発見や予防ができなかったり、治療が奏功しなかったりした場合には腎機能障害が進行し“腎代替療法”が必要になります。“代替”とは、「それに見合うほかのもので代用すること」を意味し、腎代替療法とは“腎臓が機能しなくなった(腎不全)ときに腎臓の機能に見合うほかのもので代用する治療法”のことです。

腎臓内科の外来には、たくさんの慢性腎臓病の患者さんが通院しています。腎機能障害が進行し、近い将来に腎代替療法が必要となった際に「図」に示す『腎不全 治療選択とその実際』という冊子を手渡しています。そこには、“血液透析”“腹膜透析”“腎移植”の3つが示されています。透析療法に関しては、「透析療法とは」で詳しく説明していますので、ここでは、それぞれの治療法ついて簡単に説明します。

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図 出典:『腎不全 治療選択とその実際』2017年版(日本腎臓学会、日本透析医学会、日本移植学会、日本臨床腎移植学会)

腎臓の働きの1つは、体の中で作られたさまざまな毒素や余分な水分を尿として体の外に排泄することです。腎臓が機能しなくなると、その毒素や水分を排泄することができなくなり、体内に蓄積されます。蓄積された毒素や余分な水分を取り除く治療が透析療法です。

血液透析は、ある一定量の血液を体外に取り出して、ダイアライザと呼ばれる特殊な装置を用いて血液中に含まれている毒素や余分な水分を取り除き、体内に戻します。

腹膜透析は透析液と呼ばれる特殊な液体をお腹(なか)の中(専門的には腹腔内(ふくくうない)といいます)に注入し、一定時間貯留後に排液します。そして一定時間貯留している間に体内の毒素や余分な水分を透析液内に排泄します。国内では、腎代替療法として血液透析を受けている患者さんが最も多く、次いで腹膜透析となっています。そして最も少ないのが腎移植です。

“腎移植”って何ですか?

腎移植とは、臓器提供者(ドナー)から1つの腎臓を臓器被提供者(レシピエント)へ移植する治療のことです。前述しました、腎臓の働きの1つである毒素や余分な水分の体外への排泄を代用するものが透析療法ですが、腎臓にはそれだけではなく、ホルモン産生といった内分泌機能など、さまざまな働きがあります。腎移植によって、腎臓のすべての機能を代用することができるため、3つの腎代替療法の中で、最も有効な治療法といわれています。

以上のように、腎不全の患者さんには3つの治療法があり、患者さんの状態に合わせて選択していくこととなります。

更新:2022.03.28