脳疾患：脳の病気こそ早期発見 早期治療

脳ドックの重要性

脳ドックは、脳の病気を見つけることを目的としています(図1)。なかでも、発症すると命にかかわる恐れのある脳卒中(のうそっちゅう)を早期発見することが主な目的です。

脳卒中は、脳の血管が詰まって起こる脳虚血(脳梗塞(のうこうそく)など)と、脳の血管が破れて起こる脳出血(くも膜下出血(まくかしゅっけつ)など)の2種類があります。どちらも脳細胞や神経細胞にダメージを与えるため、一度発症すると、たとえ一命を取り留めたとしても、体に麻痺(まひ)や言語障害などの後遺症が残ることがあります。

脳ドックでは、症状を起こしていない脳梗塞(のうこうそく)や微小出血、くも膜下出血の原因となりうる脳動脈瘤(のうどうみゃくりゅう)、脳腫瘍(のうしゅよう)、頭に血流を送っている頸動脈の狭窄(きょうさく)(細くなること)などが見つかります。異常が見つかってもすぐに外科的な治療を要するものは少なく、内服による治療、もしくは治療を必要とせず画像による経過観察ですむものが多いです。不安がらずに担当の先生に相談してください。

脳ドックの受診を検討したほうがよい年齢

日本人の死因で4番目に多いのが脳血管疾患です。年齢別の死亡率は30歳代後半から徐々に高まり、40歳代になるとさらに増加するため、40歳以上の人は脳ドックを受診したほうがよいといわれています。

40歳代からの脳血管疾患リスクが高い理由として、これまでの悪い生活習慣が表面化することが影響しています。不規則な睡眠やバランスの悪い食生活、過度な飲酒、喫煙習慣、ストレスなど、長年の生活習慣のツケが体に徐々に出始めるためです。

40歳という年齢は1つの目安であり、日頃から頭痛などの自覚症状があるような場合は、年齢に限らず早めの受診をお勧めします。脳の病気は発症してからでは手遅れになることがあるため、早いうちから定期的に検査を受け、病気を予防しましょう。

当てはまる人は脳ドックの受診を

健康診断の結果や普段の自覚症状から脳ドックを受診したほうがよいケースがあり、「表」に当てはまる人は脳ドックの受診をお勧めします。

脳ドックを受診して異常がなければ、2〜3年に1度の受診でよいといわれています。無症候性のラクナ梗塞(症状がなく生活に支障もない程度の脳梗塞、図2)が見つかったときには、1〜2年に1度がよいといわれています。くも膜下出血の原因となる未破裂脳動脈瘤(図3)が発見された場合には注意が必要です。

動脈瘤の場所や大きさによって危険性や今後の治療方針が異なるため、医師に相談することをお勧めします。脳腫瘍も脳ドックで発見されることがありますが、良性腫瘍であることが大半です。

更新：2024.07.29