狭心症・心筋梗塞のカテーテル治療（経皮的冠動脈形成術：PCI）－狭心症・心筋梗塞

狭心症（きょうしんしょう）は心臓の筋肉（心筋）を栄養する血管（冠動脈）が動脈硬化によって狭くなる（狭窄（きょうさく）する）ことで発症します。特に心筋が多くの血流を必要とする労作時に心筋への血流不足（虚血）が起こり、前胸部から喉（のど）、左肩にかけて数分程度の締め付けられるような痛みが現れ、安静によって軽快するものを労作性狭心症と呼びます。そのほか、冠動脈の痙攣（けいれん）によって突然血管が狭くなることで虚血が起こり、主に夜間や早朝の安静時に前記の症状が現れる冠攣縮性（かんれんしゅくせい）狭心症があります。

心筋梗塞（しんきんこうそく）は冠動脈が突然血栓で詰まる（閉塞（へいそく）する）病気で、発症から時間とともに心筋が壊死（えし）に陥るため、前記の症状が30分以上続き、冷汗や嘔吐（おうと）を伴うこともあります。また重症な場合には心機能が低下し、心不全や血圧低下、不整脈などを引き起こし、命にかかわる場合があるため、直ぐに救急車を呼ぶ必要があります（図１）。

狭心症を疑う症状があれば、運動負荷心電図検査や冠動脈造影CT検査を行い、運動による心電図変化がないか、冠動脈に狭窄がないかを調べます。

当院ではCTで冠動脈狭窄が疑われた場合、その狭窄によって虚血が起こっているかどうか、CT画像を用いて解析するFFRCT検査が可能です。これによって、従来カテーテルで評価していた虚血の有無をCTで評価することができます（図２）。これらの検査で疑わしい場合には入院して、冠動脈造影検査を行います。

一方、心筋梗塞は発症から時間とともに心筋壊死が進行するため、症状と心電図から疑われた場合には緊急入院となり、直ちに冠動脈造影検査を行います。そのため当院では24時間365日体制で対応しています。

カテーテルは血管の中に入れる細長い管です。カテーテルの挿入口には手首や腕、足の付け根などの血管を用います。手首からが最も合併症が少なく、治療後すぐに歩行可能であり患者さんの負担が少ないため、当院では特別なケースを除いては手首からの治療を行っています。

狭心症や心筋梗塞のカテーテル治療は、まず２mm程度の太さのカテーテルを心臓まで運び冠動脈に入れ、そこから造影剤を流して撮影し病変（狭窄・閉塞部位）を見つけます。次にカテーテルの中に細いワイヤーを入れて病変を通過させ、そのワイヤーに乗せたバルーンで病変を広げます。最後に、ステントと呼ばれる金属性の網目状の筒を病変に広げて置いてくることで、血管が再び狭窄・閉塞するのを予防します（図３）。病変が石灰化で硬くなっている場合にはバルーンだけでは広がらないため、ロータブレーターというドリルをワイヤーに乗せて病変まで運び、高速回転させ石灰を削ります（図４）。