足の違和感がありますが、糖尿病神経障害ではないかと心配です

愛知医科大学病院

糖尿病内科

愛知県長久手市岩作雁又

糖尿病神経障害とはどんな病気ですか?

糖尿病神経障害は、網膜症および腎症よりも頻度(ひんど)が高く、最も早期から生じる合併症です。糖尿病診断時にすでに患者さんの約5%が神経障害を合併しており、糖尿病発症後10年を経過すると合併する確率は、一般的に30~40%になるといわれています。しびれや痛みが現れ、悪化すると足壊疽(えそ)の原因となるため、早期の診断が重要です。また、下肢(かし)血流障害(PAD:末梢(まっしょう)動脈疾患)を合併することで糖尿病足病変悪化の危険度が増加します。

一般的には、左右対称の両手足に神経障害(しびれや異常な感覚など)が現れるものを糖尿病神経障害と診断します。しかし、高血糖が原因での単一神経の障害(例:動眼神経麻痺(まひ)、顔面神経麻痺)や自律神経障害(例:立ちくらみや便秘・下痢など)を起こすことがあります。

糖尿病を検査する方法にはどんなものがありますか?

当科の特徴として、糖尿病合併症の早期診断、早期治療に力を入れており、糖尿病合併症として発症する神経障害(手足の違和感、しびれ、痛み)を見つけ出すための検査(モノフィラメントを用いた圧触覚テスト、爪楊枝(つまようじ)や竹串を用いた痛覚テスト、振動覚テスト、アキレス腱(けん)反射検査など)や、自律神経機能検査として有用な心拍変動検査(CVR-R:Coefficient of Variance of R-Rintervals)を行っています。さらに、詳しい末梢神経障害の進行評価には、神経に沿って電気信号の異常を調べる必要があります。以前はこれらの検査法は、専門の検査技師しか調べられず、患者さんにも痛みを伴うものでしたが、簡易神経伝導測定器DPNチェック(写真1)を導入することで、簡単に軽い刺激のみで経過を追うことができるようになり、病気の進行度を診ることが可能になりました。

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写真1 簡易神経伝導測定器(NC-stat DPNチェックTM)

最新検査機器である角膜共焦点顕微鏡(CCM:Confocal corneal microscopy、写真2)を用いた角膜神経線維密度検査を行っています。まだ研究の段階ですが、角膜神経線維密度は、臨床症状がなく糖尿病を発症する前から細く、短く、蛇行したりして低下することが報告されています(写真3)。糖尿病神経障害やそのほかの末梢神経障害の進行度を、CCMを用いることで痛みなく簡便に判定することが可能となってきています。また、これらの判定をもとに、早期から最も効果のある糖尿病合併症治療を行うことができます。

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写真2 角膜共焦点顕微鏡を用いた角膜神経線維密度検査
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写真3 正常血糖者と2型糖尿病患者での角膜神経線維

糖尿病があり足に痛みと傷があるのですが、どんなケアをしたらいいですか?

まず、糖尿病内科を受診しましょう。当科では、血糖値を診るだけでなく、患者さんを頭から足先まで全部診ることを大切にして外来診療、入院治療を行っています。

外来診療では、医師の診察だけでなく病院スタッフとチーム(透析予防チーム・フットケアチーム・世界糖尿病デー啓蒙チーム)をつくり、総合的に診療・療養ケア指導・啓発活動を行っています。

当院のフットケアチームは、専門医と看護師スタッフが足の神経障害、血流障害、変形、皮膚病変を詳細に評価し、ハイリスクの患者さんには足を傷つけにくい靴の指導、定期的なスキンケアを行い、発症予防に努めています。足病変進行例では、内科的治療から外科的処置を優先的に行うことができるよう、当院の皮膚科、血管外科、整形外科などと常時連携しています。

フットケアは重要!

足病変は、悪化すると足壊疽のきっかけとなるため、早期の診断が重要です。また、足の血流障害が加わることにより切断しなければならないほど重症となることがあります。フットケアの習慣化は足病変の早期発見のみならず、足病変を予防することにつながります。

糖尿病患者さんでは、腎不全(人工透析など)や冠動脈病変(心筋梗塞、狭心症)、脳梗塞(のうこうそく)(手足の麻痺)などの合併も多く、生命予後も不良となるため、医療者が行うフットケアに加え、毎日行う糖尿病全般についてのセルフケア指導を受け、正しい知識を得ることも大切となります。

更新:2022.03.14