ワクチン外来・渡航外来で行っていることを教えてください

愛知医科大学病院

感染症科

愛知県長久手市岩作雁又

ワクチン外来・渡航者外来とは?

近年、海外渡航者が増加傾向にありますが、気候や衛生環境が異なる海外では、発熱や下痢などを起こすことが多く、原虫やウイルスによる感染症であることも少なくありません。

そのような中、渡航先の感染症情報、予防接種、マラリアなどの予防薬の処方、帰国後の健康相談、英文診断書・証明書の作成などに関する問い合わせが増加しています。ワクチン外来・渡航者外来では、海外での疾病流行状況・渡航目的に応じた予防接種、予防薬の処方、結核の検査、英文証明書の作成などを行っています。帰国後の健康相談は、感染症外来で受け付けています(写真)。予防接種は乳幼児の定期接種との同時接種も実施可能です。

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写真 感染症科外来の診察室

また、渡航者に限らず、定期接種・任意接種対象ワクチンの接種も実施可能です。

海外に行くときに気を付けることは何ですか?

渡航前に、渡航先の感染症流行情報や、治安状況などに関する最新情報を入手することが重要です。

現地での注意点や渡航前の感染症予防対策などは、次の通りです。

  • 旅行者下痢症などの経口(けいこう)感染症の予防のために、生や加熱の不十分な食品・水の摂取を避けてください。万が一感染症が疑われた場合には自己判断での服薬は避け、医療機関を受診されることをお勧めします。予防にはA型肝炎・腸チフス(国内未承認)・コレラ(国内未承認)ワクチンがあります。
  • 人込みに行ったり、集団生活をしたりする場合は、飛沫(ひまつ)感染症の予防のためにマスクなどを着用してください。予防接種にはインフルエンザウイルスワクチンや髄膜炎菌(ずいまくえんきん)ワクチンが推奨されます。
  • 蚊媒介感染症予防のためにDEET含有(20%以上が望ましい)の人体用防虫剤を使用します。予防には日本脳炎や黄熱ワクチンの接種、マラリア流行地での予防内服が推奨されます。
  • 動物咬傷(こうしょう)による感染症予防のために、流行地への渡航前に狂犬病ワクチン接種が推奨されます。また現地では動物にむやみに近寄らないことが重要です。
  • 血液体液曝露(ばくろ)による感染症や性感染症予防のために、リスクのある性交渉は避けることや避妊具の使用が推奨されます。また、B型肝炎ワクチン接種が推奨されます。
  • そのほかには、高山病や潜水病、熱中症、日焼けや凍傷などがあり、留意が必要です。

各ワクチンの対象となる滞在地域はどこですか?

海外に行くときのワクチンは渡航先も重要ですが滞在地、滞在期間、渡航形態、宿泊、目的など渡航そのものにかかわる事項によっても異なります。「表」に主なワクチンと対象となる渡航先の一覧を示しています。

表
表 ワクチンの対象となる滞在地域

予防接種スケジュール

予防接種には髄膜炎菌や黄熱のように1回接種でよいものもありますが、A型肝炎、B型肝炎、狂犬病のように3回接種が必要なものもあります。ワクチンは規定回数を接種することで初めて十分な抗体獲得と長期免疫が確保できますので、できるだけ接種スケジュールには余裕を持つことが望ましいです。

ワクチン外来・渡航者外来では、渡航までに十分な日程が確保できない場合も含め、個々に接種スケジュールを調整させていただきますので、お気軽に受診してください。

更新:2024.10.21