がん専門病院の役割 私たちはがん診療のスペシャリストです

四国がんセンター

緩和ケア内科

愛媛県松山市南梅本町甲

がん専門病院としての四国がんセンターの歴史

歴史をたどると、戦後一般の国立病院であった当院が、全国でも早い時期からがん診療に力を入れて今日に至る経過が見えます。

四国がんセンターは昭和41年「四国地方がんセンター」を併設した後、昭和54年に正式に「四国がんセンター」としてがん専門病院となりました。全国のがん専門病院が参加する「全国がんセンター協議会」に結成当初の昭和48年から参加しています(現在は32施設が加盟)。

平成14年3月には全国で最初の「地域がん診療拠点病院」に指定され、また「がん政策医療ネットワーク」の「基幹医療施設」となり、同19年からは愛媛県をまとめる「愛媛県がん診療連携拠点病院」に指定されました。

がん専門病院ならではの機能と先見性

がんセンターは併存症のあるがん患者への対応では総合病院にはかないません。しかし、がん診療を目的に整備された病院としての特徴と、がんのことを常に考えている先見性というアドバンテージがあります。専門病院としての特徴は、次のとおりです。

  • がん専門のスタッフがいます。医師はがんにかかわる専門医の集団です。看護師もがん看護専門看護師などの専門教育を受けたさまざまなエキスパートが多数在籍します。ほかにも、がん専門薬剤師、がん病態栄養専門管理栄養士など多種多様ながん診療の専門家が在籍しており、若手医療従事者の研修の場にもなっています。
  • 病院の組織構成や建物そのものががん診療を目的に作られています。がん治療のための急性期病棟、集中治療室、地域包括ケア病棟、緩和ケアセンター、通院治療室(外来抗がん剤治療センター)、がんドックなどを有し、病院内だけではなく、在宅や地域の、早期から終末期までの診療を、患者さんが望む場所で安心して継続できる体制を整えています。
    病棟は臓器別編成となっており、同じ病棟で診断から手術、抗がん剤治療が行われています。そのため、経験が積みやすく、専門性が高いスタッフがそろいます。
  • がんの「標準治療」を行います。「標準治療」というのは「中くらい」あるいは「最低限」の治療ではありません。科学的医学的根拠に基づいた最良(ベストな)の治療のことです。
  • がん診療のための設備としてPET‐CTなどの高性能診断機器と高精度放射線治療装置、ダビンチロボット支援手術装置など最新鋭の治療機器がそろっています。
表
表 専門資格一覧

次に、専門病院として先見的に取り組んできたこと、取り組んでいることを紹介します。

1.治験をはじめとする新しいがん治療への取り組み

臨床研究センターを中心に、新規抗がん剤開発にかかわる治験や医師主導臨床試験により、新しい標準治療を作るための研究に取り組んでいます。当院は、新薬が日本に導入されるときの最初の施設群の1つです。専任の治験コーディネーターが多数います。また、当院は乳房温存療法にも全国に先駆けて取り組みました。また、近年のある意味では新しい分野である緩和医療も率先して行ってきました。

2.患者さん・家族への支援

年間9000件を超える相談に対応する「がん相談支援センター」があります。また、「患者・家族総合支援センター〝暖だん〞」は、がん患者さんや家族のための多様なニーズに応えるセンターです。患者図書やウィッグ・マンマ製品(乳がん術後補正下着)展示、患者サロン、がんカフェ「坂の上の雲・暖だんカフェ」などの患者サポートイベントが開催されています。最近は、がん教育やがん患者の就労支援などにも取り組んでいます。

地域のがん診療の中のがん専門病院

当院は、「愛媛県がん診療連携協議会」の幹事施設です。県内の他のがん診療を行う主だった病院と協議し、協力を図って、県内のどの地域でも質の良いがん診療が提供できるように努めています。愛媛県がん登録を受託し、愛媛県地域がん登録や院内がん登録を集計して、がん対策立案のための基礎データをまとめています。愛媛県のがん対策推進委員会にも協力し、愛媛県のがん対策に貢献しています。

これからさらに期待されること

がん医療は近年大きく進展しました。今後はさらに多様化した患者ニーズに応えていかなければなりません。今話題の「がんゲノム医療」は、がん治療に革命を起こすといわれています。がんゲノム(がん遺伝子)診断と分子標的薬の新規導入により、改めてがん専門病院の果たす役割が注目されています。私たちは時代を乗り越え、新たながん治療の専門家集団として、がんとの闘いに終止符を打つために全力を尽くしたいと思っています。

更新:2024.10.18