発がん因子 発がんに関係するたくさんの化学物質や生活習慣

四国がんセンター

がん予防・疫学研究部 病理科

愛媛県松山市南梅本町甲

がんを起こす要因のうち、紫外線や喫煙、ウイルスのような体の外部から来たものが外因、体質などの内部の要因が内因と呼ばれます。

外因

世界保健機関(WHO)の外部組織として、がんの疫学・予防などを研究する国際がん研究機関が確実な発がん因子として発表している物質や環境は100を超えます(表)。国内では、国立がん情報センターも独自に発がん因子を発表しています。がんごとに関与する要因が異なりますが、喫煙のように多数のがんに共通するものもあります。

表
表 発がん因子

外因の中で、最も重要なものは喫煙です。タバコの害は「禁煙のすすめ」に詳しく書いてあります。次に重要なものは感染症です。これについても「感染症と発がんについて」をご覧ください。

外因のうち、避けることが難しいものにはアスベストなど、生活の中で知らず知らずのうちに暴露されてしまうもの、抗がん剤や放射線治療などのように、リスクを覚悟の上で使わざるをえないものがあります。

比較的リスクの管理がしやすいもののうち、重要なものは飲酒です。一般に1日ビール500㏄、あるいは日本酒1合以上の飲酒が発がんリスクを高めるとされています。アルコール代謝機能の低い人ではリスクがさらに高くなります。また、塩分の高い食事や加工肉も消化管系のがんの発生に関係します。

内因

内因も外因と同様、リスクの管理が可能なものとできないものがあります。最も大切なものは遺伝です。これについては「家族性腫瘍相談室」に詳しく書いてあります。

生活習慣によってリスクがコントロールできる内因に、肥満と運動があります。肥満は膵臓(すいぞう)がん、大腸がん、乳がん、子宮体がんなど、多くのがんの発がんリスクを高めます。ただし、その程度は日本人ではあまり高くないようです。一方、確実ではありませんが、男性のやせすぎも発がんリスクを高めるという報告があります。また、適度な運動はがん全体の発がんリスクや死亡リスクを下げるとされています。

コントロールしにくいのですが、内因として重要なものにホルモン環境があげられます。乳がんや子宮体がん、前立腺がんなどでは、体内のホルモンによってがん細胞の増生が刺激されています。

がんは発生に性差があります。また、さまざまな原因による慢性の炎症も発がんの因子となることが知られています。

更新:2022.03.16