手術中に行う迅速検査 手術方針の鍵となる2つの検査

四国がんセンター

臨床検査科

愛媛県松山市南梅本町甲

術中迅速病理診断

当院では、年間約1700件の手術を実施しています。手術中に病理検査室では、年間約500件もの術中迅速検査を行っています。

通常は手術開始前に腫瘍(しゅよう)の有無や性状、広がっている範囲を決めた後に臓器を切ります。しかし、体の外部からの検査では十分な病理検査ができない場合には、手術中に採取した材料を短時間で凍らせて、薄く切って染色し、病理検査を行います。これを(手)術中迅速病理診断と呼びます。がんの治療において重要な手法です。

手術前に腫瘍の採取が難しい肺や膵臓(すいぞう)で、その病変の一部を切り取り、良性か悪性か、がんであればその種類の判断をすることが日常的に行われています。また、胃がんや胆管がんなどのようにがんの進展範囲が分かりにくいがんにおいて、断端(手術で切除した組織の切り口)まで広がっているかどうかの判断を行います。
当院では、術中検査が迅速かつ精度の高い検査となるよう、手順の検証や技師のトレーニングを行っています。また、ほとんどの症例において、複数の病理医の合議による診断を行っています。

写真
写真1 術中迅速病理検査。標本を作製しているところ

リンパ節転移を見つける遺伝子検査・OSNA法

乳がんの手術においては、年間300件近くのOSNA法を行っています。OSNA法は、手術中に採取したリンパ節をすべて溶かし、がん細胞で発現している遺伝子を特殊な酵素を使い増幅させて、専用の装置で手術中に検査する方法です。リンパ節全体を検査するため、今までの検査法より高精度にがんを見つけることができます。

イラスト
図2 OSNA法。リンパ節を可溶化しがん由来の遺伝子を検出します

当院では、リンパ浮腫(ふしゅ)を起こすリスクが高い腋窩(えきか)リンパ節切除を行うかどうか、センチネルリンパ節生検をOSNA法で行っています。OSNA法の機械は、現在でも全国で100台程度ですが、当院は全国に先駆けて2008年から導入しました。

写真
写真2 OSNA検査機器を操作しているところ

更新:2024.08.22