複雑な感染症や院内感染にチームで立ち向かう

中部ろうさい病院

リウマチ・膠原病科 腎臓内科 呼吸器内科

愛知県名古屋市港区港明

「薬剤耐性菌(やくざいたいせいきん)」について聞いたことはありますでしょうか?細菌を殺す抗菌薬を長期間使うと、細菌も徐々に自分の身を守るしくみを働かせて、抗菌薬が効かない「耐性菌」が出現することがあります。

2011年以降、頻度(ひんど)の高い薬剤耐性菌による国内の年間死亡者数は、約8,000人に上ると報告されています(図)。死亡者数が年々増加している耐性菌もありますので、薬が効かない耐性菌を作らない対策が重要となります。

グラフ
図 薬剤耐性菌による国内年間死亡者数「J Infect Chemother. 2020;26:367-371.より引用改変」

薬剤耐性菌が現れやすい条件としては、①不必要な抗菌薬の投与、②必要以上の広域抗菌薬(幅広い細菌に効果を示す薬剤)の投与、③必要以上の抗菌薬の長期投与が挙げられます。

私たち感染制御部メンバーは、広域抗菌薬を使用している症例や敗血症(血液中に細菌感染を認める)の症例に対して、抗菌薬の選択や治療期間について主治医と協議をしています。見つかった耐性菌に対しては、院内で広がらないよう予防策も提案します。ほかにも、重症感染症や珍しい感染症に対して治療の支援を行っています。

新型コロナウイルス対策——患者さんもスタッフも守る診療体制をつくる

2019年12月に発生した新型コロナウイルス感染症は世界各地に拡大し、国内でも患者数が増え続けています。

「患者さんが安全に医療を受けられる場を作り、院内スタッフの身も守り、安心して働くことができる環境をつくること」を目標とし、私たちは新型コロナウイルス感染症の対策マニュアルを作成し、診療体制を強化しました。患者さんやスタッフにも協力してもらいながら、ベストな診療体制をつくるよう日々模索しています。

医師・看護師・薬剤師・検査技師でチームをつくり、より良い医療を提供できる環境づくりのお手伝いをしています。

更新:2022.03.23