「膵臓がん」と言われたら 最新の治療を近所の平塚市民病院で

平塚市民病院

消化器外科

神奈川県平塚市南原

膵臓がんとは?

膵臓(すいぞう)は、胃の後ろにある長さ約20cm、重さ約60gの横に細長い臓器で、右側より膵頭部(すいとうぶ)、膵体部、膵尾部に分けられます(図1)。食べ物を消化する膵液や、血糖値を調整するホルモン(インスリン、グルカゴン)を産生します。膵頭部では十二指腸、胆管、膵体部では胃、膵尾部では脾臓(ひぞう)、大腸に接し、周囲に太い血管が走行しているため(図2)、小さいがんでも容易に周囲の臓器に浸潤(しんじゅん)しやすく、肝臓や肺に転移しやすいことから、診断時点で手術不能な割合が7~8割程度であり、克服が難しいがんの代表とされています。

イラスト
図1 膵臓の解剖
イラスト
図2 腹腔内における膵臓の位置と周囲臓器

膵臓がんの症状・診断

膵臓がんの患者さんの症状としては、上腹部痛、背部痛、黄疸(おうだん)(肌や眼球が黄色くなる)が多く、体重減少、食欲減退、糖尿病が悪化することもあります。がんが進行するまで、ほとんど症状がないことが多く、早期の膵臓がんには特徴的な症状はありません。

診断には腹部超音波検査・造影CT検査、MRI検査などが有用です。健康診断では早期発見は難しいことが多く、人間ドックのオプションやほかの理由で撮影した腹部造影CT検査・MRI検査などで、偶然膵臓がんと診断される方もいます(写真)。

写真
写真 当院で診断した12mmの小膵臓がん(矢印)、がんで閉塞(へいそく)した膵管は滞った膵液により拡張しています(矢頭)

膵臓がんの治療・予後

膵臓がんの治療は、①手術による切除、②化学療法(抗がん剤治療)、③放射線療法、④緩和ケア(対症療法)の4つが中心となります。進行度や患者さんの全身状態をもとに、治療法を選択し組み合わせて行う集学的治療によって、徐々に治療成績が良くなってきています。

手術

がんを残らず切除できると判断され、全身状態も良好な患者さんには外科手術が行われます。手術は、膵頭十二指腸切除(膵頭部、胆管、十二指腸を切除する手術)、あるいは膵体尾部切除(膵体尾部と脾臓を切除する手術)が行われます。いずれも長時間におよぶ大手術ですが、唯一根治が期待できる治療です。

当院では、この高難度手術の指導を行う立場にある日本肝胆膵外科学会高度技能指導医2人が勤務しており、根治性と安全性を担保した手術を行っています。安全な手術のために、患者さんのCT検査のデータを解析して、血管や膵臓がんの位置関係を個々の患者さんについて再現し、手術の注意点や方法を詳細に検討して手術に臨んでいます(図3)。

イラスト
図3 CT検査の画像をもとに、膵臓がんと周囲の血管の位置関係を詳細に検討し、手術に備えています

化学療法

切除が難しい患者さんには、抗がん剤による化学療法が行われます。これまで、なかなか効果が得られなかった膵臓がんに対する化学療法も、ここ数年で大きく進歩しています。副作用も一般的に思われているほどの重篤なものは少なく、ほとんどの患者さんが外来通院しながら治療を受けています。多くの患者さんが生活の質を保ちながら、自分らしくがんと付き合っていくのに大きく役立っています。

放射線治療

膵臓がんに対する放射線治療によって、痛みの緩和や、手術が難しい患者さんが放射線治療と化学療法を併用することで手術できるようになったことも当院で経験しました。当院では、最新鋭の高精度リニアックTrueBeamを導入し、さらに十分な経験を持った放射線治療専門医2人が勤務しており、高精度な治療を受けることが可能です。

緩和ケア

緩和ケアというと「がんの治療ができなくなった患者さんの医療」と思っている方もまだまだ多いようですが、これは過去の考え方です。がんと診断され病名を告知されると、体だけでなく、心にも「つらさ」や不安を感じますが、緩和ケアによってお手伝いすることで、治療に立ち向かう意欲を取り戻せるのです。最近は、がんと診断されたときから緩和ケアを必要に応じて受けることで、生活の質だけでなく長生きできるようになるという報告もあり、膵臓がん治療における重要な治療の1つです。

膵臓がん治療も近所の平塚市民病院で

がんセンターや大学病院に勝るとも劣らない良質な膵臓がん診療が、近所の平塚市民病院にすべてそろっています。

すべての治療において、自宅から近いということは、頻回(ひんかい)の通院が必要な際も体力的な負担が少ない、不意の発熱や腹痛など療養中に何かあったときもすぐ受診できる、家族の面会も気軽にできるなど、患者さんにとって何事にも代えがたい大きなメリットです。

膵臓がんと言われたら、まずは当院へご相談ください。必ず患者さんの力になります。

更新:2024.10.18