「光線療法」って何?どんな皮膚病に効くの?

平塚市民病院

皮膚科

神奈川県平塚市南原

光線療法の概要

一般に皮膚科の治療というと、べたべたした軟膏(なんこう)を塗って、かゆみ止めを飲む治療を想像すると思いますが、そのほかの皮膚科の治療法の代表的なものに、光線療法があります。

この治療は、紫外線照射装置を使って、全身あるいは症状のあるところに繰り返し少しずつ紫外線を当てていき、紫外線のエネルギーで、炎症を起こしている細胞を減らしたり、異常な免疫反応を抑えたりすることで、効果を発揮します。

最近は、紫外線の中のUVB、さらにその中でも、皮膚疾患に一番効果のある波長のみを選択的に照射できる、ナローバンドUVB の照射装置による治療が注目されています。

どんな皮膚病に光線療法は効果を発揮するのか

尋常性乾癬(じんじょうせいかんせん)(全身にかさぶたの厚くはった赤い斑ができる病気)、掌蹠膿疱症(しょうせきのうほうしょう)(手のひら、足の裏に黄色い膿うみをもったぶつぶつや皮むけを繰り返す病気、写真1)、アトピー性皮膚炎、尋常性白斑(はくはん)(しろなまず、写真2)などの皮膚疾患で、塗り薬、飲み薬で治りにくいときに、ほかの治療と平行して治療を行います。

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写真1 掌蹠膿疱症
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写真2 尋常性白斑

実際にどのように治療するのか、痛みなどないのか、副作用は?

機械の種類により、照射方法は少し異なります。広い範囲に紫外線を当てる場合は、ベッドに寝ていただき、数分間照射します。部分的に当てる場合は、小型の機械を使用するため、座ったまま患部に機械を当てます。照射時間も、短い場合は1分以内です。痛みは全くありません。

副作用として、日焼けをしすぎたような状態になることが稀(まれ)にありますが、日焼けをしやすい方には、事前に光線テストを行ったり、少なめの光線量を当てたりすることで、ほとんど避けられます。

当院での光線療法について

当院では、尋常性乾癬やアトピー性皮膚炎など、広い範囲の照射を必要とする場合に使用するデルマレイ-200(写真3)、掌蹠膿疱症など、手のひらや足の裏などに照射するターゲット型エキシマライトのセラビウム(写真4)、尋常性白斑など、狭い範囲や大きい機械だと照射しにくい部位に使用する小型のターナブ(写真5)の3種類の紫外線照射装置をそろえており、疾患によって使い分けたり、併用したりしています。

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写真3 デルマレイ-200
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写真4 ターゲット型エキシマライトのセラビウム
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写真5 小型のターナブ

紫外線治療は、1回の治療で効果が出るものではなく、週1~2回のペースで、疾患によっては数十回以上の照射が必要になります。そのため当科では、患者さんになるべく治療を受けていただきやすくするために、月~金曜の午後、処置室2部屋を利用して、希望する曜日・時間に予約制で光線治療を行っています。

平塚市内で光線療法を行っている医療機関は少なく、もしこの治療を試してみたいと考える方は、現在通院されている主治医とご相談の上で、ぜひ受診してください。

更新:2024.10.29