ナビゲーションを使用した人工膝関節置換術 変形性膝関節症

大垣市民病院

整形外科

岐阜県大垣市南頬町

変形性膝関節症の治療

変形性膝関節症(へんけいせいひざかんせつしょう)は、年齢とともに関節軟骨が徐々にすり減ってきて、膝の腫(は)れ、膝痛、曲げ伸ばしの制限をきたす病気です。進んでくると、階段の昇り降りが痛みのためにできなくなり、さらに歩くときも痛みが出てきて、生活が不自由になってきます。

治療としては、変形が軽いうちは、保存的治療(手術以外の治療)として、運動療法(膝を伸ばす筋肉の強化、プール歩行)、装具療法(足底板、サポーター)、体重の減量、膝痛に対しては、薬物療法(痛み止めの内服、外用薬、ヒアルロン酸関節内注射)などを行います。

保存的治療をしても、変形が進んできて症状も重くなると、手術が必要になります。

手術を受けて、もう一度楽に歩けるようになろう!

変形性膝関節症に対する手術には次のようなものがあります。

①関節鏡

これは膝関節の内視鏡です。主としてクッションの役割をしている半月板が痛んだり、痛んできた関節軟骨が脱落して引っかかる症状があるときに有効です。

②骨切り術

骨を切ってO脚を治すことにより、膝の内側ばかり体重がかかっていることを改善する手術です。変形が少なく、年齢が比較的若いとき(60歳未満)に行われます。

③人工膝関節置換術(ちかんじゅつ)

膝の動く部分のすり減った軟骨や変形した骨を手術で取り除き、金属とプラスティックに入れ替えて、新しい関節をつくる手術です。膝の痛みはほとんどなくなります。また、O脚も治り、歩行、階段の昇り降りも楽になります(写真1)。

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写真1 人工膝関節手術前(左)と手術後

ナビゲーションを使った人工膝関節置換術

人工膝関節の手術をするときには、骨を予定通り正確に切る必要があります。正確に骨を切るために、各種手術道具が考えられています。そのうちの1つにポータブルナビゲーションシステムがあります(写真2)。コンピューターを内蔵した手のひらより少し小さい装置を手術中に膝に装着、大腿骨(だいたいこつ)と脛骨(けいこつ)の位置を認識して、それぞれの骨に対して、予定通りの骨切りができるように画面を見ながら調節してから骨を切ります。

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写真2 ナビゲーション

当院では、このナビゲーションを使用しており、より正確な手術を施行して、患者さんの満足度が高くなるように努めています。

また当院では高齢化が進んでおり、人工膝関節置換術が多くなっています(図1、2)。重い内科的病気がなければ、ある程度の病気(高血圧、糖尿病、心疾患等)があっても、内科の先生の協力により手術することが可能です。当院の変形性膝関節症に対する人工膝関節を行った患者さんの平均年齢は76歳で、最高年齢は89歳です。

グラフ
図1 当院における人工膝関節数
グラフ
図2 岐阜県内2017年度人工膝関節数(DPC対象病院のみ、実数と異なることがあります)

膝関節痛で困っている方は、整形外科専門医に相談することをお勧めします。

更新:2022.03.08