胃がん・大腸がんは内視鏡で切除できるのですか?

消化器内科 外科

早期の胃がん・大腸がん、大腸のポリープは内視鏡治療で治せるの?

早期がんに対して行われている内視鏡治療は、開腹手術に比べて入院日数が短期間ですみ、また、体への負担も軽くできるため、従来の外科治療に代わる新しい治療法として注目されています。

内視鏡治療の代表的な手技としてEMR(内視鏡的粘膜切除術)法(図1)とESD(内視鏡的粘膜下層剥離(はくり)術)法(図2)があります。EMR法はスネアという金属の輪で腫瘍(しゅよう)を締め付け、高周波電流を流して病変を切除することができます。ESD法は少し大きな病変に対して、針状の特殊なメスで病変の場所を剥(は)ぎ取ることができます。

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図1 内視鏡的粘膜切除術(EMR)
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図2 内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)

すべての胃がん・大腸がんを内視鏡で切除できるということではありませんが、表面的な腫瘍は内視鏡治療で治癒することができるようになりました。

内視鏡治療の手技と技術は日々進歩しており、安全性と根治(こんち)性(*)は高くなっています。しかし、まれですが胃や腸の薄い壁を切除するため、穴があいたり、血が止まらなくなったりする場合があります。緊急の開腹手術になる偶発症も起こりえますので、内視鏡治療は文書での同意が必要です。

*根治:完全に治すこと。治癒

内視鏡で治療できるようにするには、どうしたらいいの?

胃がんを早期に発見するために、以前から検診でのバリウムによる胃X線検査が有用とされてきました。しかし、最近はより精度の高い胃カメラの内視鏡検診が広がりつつあります。内視鏡検診はまだ十分な件数が行える体制が整ってはいませんが、年々施行する施設は増えてきています。

自治体が行う検診以外に、個人で行う人間ドックなど、健診での胃カメラを利用したりして、病気の早期発見に努力されている方も増えてきています。検診で見つかった胃がんは早期がんの割合が多く、内視鏡で治癒する症例も多くみられます。

胃がんの予防としてピロリ菌の除菌があります。萎縮性胃炎(いしゅくせいいえん)の患者さんでは胃の中にピロリ菌という細菌が見つかる方が多く、ピロリ菌を除菌すると胃がんのリスクが下がるとされています。1週間という短期間ですが3種類の薬を内服し、約90%の方にピロリ菌の治療(除菌)が可能です。抗生剤を組み合わせて飲むので、アレルギーのある方などは慎重に考えてもらえればと思います。

大腸がんの早期発見には、便潜血検査という非常に優れた大腸がん検診の方法があります。便潜血検査は、便の中の目で見えない出血を調べるだけなので、苦痛もほとんどない非常によい検査法です。大腸内視鏡検査は、小さなポリープも発見できて非常に優れた検査法ですが、下剤を2リットル飲み、腸をきれいにしてお尻からカメラを入れるため、大変な検査であることには違いありません。

便潜血検査で出血がみられた方(陽性)は、大腸内視鏡検査で精密検査を行います。便潜血検査や内視鏡検査で見つかる大腸がんは、お腹(なか)が痛くなったり、目で見える出血などの症状があってから受診するよりも早期に診断されています。

滋賀県でも、自治体の大腸がん検診を年間に約6万人の方が受けています。その内、約6%の方が便潜血陽性となり内視鏡検査まで進んでいます。最終的には年間100人以上の方に大腸がんが見つかっています。

ただ残念なことに、便潜血が陽性であっても3割の方は精密検査を受けずにそのままにしています。滋賀県では自治体職員の努力により、そういった患者さんは全国的な比率より少ないですが、精密検査受診率がさらに上がれば、より多くの大腸がんが早期発見できる可能性は高くなります。

大腸の便潜血検査はリスクもなく、大腸がんの死亡率の低下効果も証明されており、検診の優等生とされています。ぜひ多くの方に「大腸がん検診」の受診をお願いしたいと思います。

「早期発見で内視鏡で治療できるように、胃がん、大腸がん検診を受診しましょう」

早期の胃がんや大腸がん、大腸ポリープは、お腹を切らずに内視鏡治療で治癒させることができるようになってきました。早期に病気を発見し、内視鏡で治療できるようにするため、胃がん、大腸がん検診を受診しましょう。

更新:2022.03.29