がんを見つけるー画像診断

済生会吹田病院

放射線科

大阪府吹田市川園町

あの手、この手でがんに迫ります!

がんの診断といえば、血液検査から始まって、レントゲン検査やエコー検査などがまず行われていました。しかし、最近ではすぐにCT検査を行うことも多くなりました。1回の検査に30分以上もかかっていた時代から、機械の目覚ましい進歩を経て、現在では一度にたくさんの画像を撮影できるMDCT(Multi-detector row CT)が普及し、通常撮影のみなら10分弱で検査ができるようになっています。

当院では、16列と64列のMDCTを用いて1日に100件近い検査を行っていましたが、2018年5月より16列CTにかわって320列のCTが導入され(図1)、単純に計算すると20倍の早さで検査ができることになります。今までよりも早く、広い範囲の撮影、さらに精密な(細かな)画像が提供できるようになりました。

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図1 320列CT

CT検査

CTは、頭のてっぺんから足の先までどの部位でも撮影でき、さまざまながんの発見に役立ちます。特に肺や肝臓、腎臓(じんぞう)などといった臓器のがんの発見に役立ち、撮影範囲にもほぼ制限はありません。造影剤という特殊な薬を用いると、さらに詳しい情報が得られます。血管に近い部位や、ほかの臓器と重なって分かりにくい部位のがん、正常の組織に埋もれている小さながんも見つけやすくなります。また転移リンパ節の発見や、がん自身の性質(血の流れが多い、少ないなど)の診断もできることがあります。このことから、がんを見つけるための検査として、さらに、がんと診断されてから今後の治療方針を立てる上でも大事な検査となります。

MRI検査

CTと並んでがんの診断に役立つのがMRIです。X線ではなく磁力を使います。CTより少し検査に時間がかかったり、検査を受けるのに制限のある場合がありますが、部位によってはCTより詳しい情報を得ることができたり、CTでは見つけられないがんを発見することができます。

特に、脳や脊髄(せきずい)といった骨に囲まれた部位のがん、あるいは骨自身のがんの発見に威力を発揮します。また液体成分の検出にも優れており、膵管(すいかん)の変化で小さな膵臓がんを見つけたり、胆管の中の小さな腫瘍(しゅよう)を見つけたりすることなども得意とします。さらに、CTよりも組織のわずかな違いに敏感ですので、子宮や卵巣などの婦人科系のがんや前立腺がんなどの診断にも有用です。このわずかな違いを検出する力は、まだがんになる前の組織(前がん病変)などの検出にも役立ちます。

MRIにも造影剤があります。CTとは少し異なる種類の造影剤で、使用することにより詳しい情報を得られるのはもちろんですが、肝細胞だけに集まる造影剤、細網内皮系(さいもうないひけい)という特殊な細胞だけに集まる造影剤などもあり、これらを組み合わせることでさらに高い診断能力を発揮します。当院では、1・5Tと3Tの2台の機械をそろえ、病気や患者さんの状態に応じて使い分けています(図2)。

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図2 MRI(3T)

核医学検査

CTやMRIほど知られていませんが、ほかにもがんの診断に役立つ画像診断装置があります。それが核医学診断装置です(図3)。核医学検査は、ごく微量の放射性薬物を注射して、それを体外から撮影して診断する検査です。

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図3 核医学診断装置

最近では認知症の診断に威力を発揮していますが、がんの診断、特に骨のがんや、さまざまながんの骨への転移の診断などにも役立っています。そのほか特定の臓器だけに集まる薬を用いて、見つけたがんがどこから転移したものかを診断できることがあります。また、この診断方法を応用して、骨に転移したがんを治療することもできるようになってきています。これについては放射線治療の項(「さまざまな放射線治療でがんに立ち向かう!」)で述べます。

このようにさまざまな画像診断装置を組み合わせて、がんの診断、そして治療方針の決定へとつなげていくのが画像診断の役割です。もちろん、がんを治療した後の過程を観察するのも画像診断の役目で、診断から治療までずっと画像診断が活用されています。

更新:2024.01.25