サイバーナイフ——がんをピンポイントで狙い撃つ——

札幌孝仁会記念病院

SAFRA札幌高機能放射線治療センター

北海道札幌市西区宮の沢

サイバーナイフとは?

長いX線治療の歴史においてさまざまな技術の進歩がありますが、工業用ロボットの技術を応用した革新的な装置がサイバーナイフです。X線照射装置が取り付けられたロボットアームによって、患者さんのあらゆる方向から多数のビームを照射します。

従来よりも極めて線量集中性が高く、まるでメスで手術するかのように切れ味の鋭い放射線治療が可能となっています。2023年9月現在、北海道で唯一当院に設置されています。

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写真 当院のサイバーナイフ

肝がんに対するサイバーナイフ

小型の肝(かん)がんはサイバーナイフのよい適応です。肝がんは放射線治療がよく効くことが知られています。しかし、周囲の正常な肝臓組織が放射線で障害を出しやすく、普通の放射線治療装置では治療が困難でした。サイバーナイフは線量集中性が高く、周囲の正常な肝臓組織に極力照射せずに、がんに高線量を投与することが可能です。

「図1」はサイバーナイフによる肝がんの治療の例です。サイバーナイフは360度自由な方向から照射することが可能であり、最適な方向をコンピューターが自動で選択します。肝がんに対して多数の方向から照射することで、正常な肝臓の障害を極力抑えて、肝がんに対してピンポイントで高線量を投与しています。周囲にある胃や腸、腎臓(じんぞう)などにはほとんど照射されておらず、これらに副作用が出ることはほぼありません。

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図1 肝がんに対するサイバーナイフの治療計画(上)と線量分布図(下)

肺がんに対するサイバーナイフ

小型の肺がんも、同様にサイバーナイフのよい適応です。周囲の正常な肺組織を極力照射せずに、がんにピンポイントで照射することが可能となっています。

サイバーナイフには、照射位置自動修正システムが備わっています。サイバーナイフの治療中には高解像度のX線画像でその時々に照射している位置を確認できます。体のずれや呼吸などによる病巣の動きに対応した照射が可能です。

「図2」はサイバーナイフによる早期肺がんの治療の例です。肝がんと同様、肺がんに対して適切な方向から多数のX線ビームを用いて、サイバーナイフ治療を行っています。正常な肺の障害を極力抑えて、肺がんに対してピンポイントで高線量を投与することができます。周囲にある心臓や食道、肝臓などにはほとんど照射されておらず、これらに副作用が出ることはほぼありません。

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図2 肺がんに対するサイバーナイフの治療計画(上)と線量分布図(下)

サイバーナイフの対象疾患

サイバーナイフは機器の特性上、小型のがんしか治療することができません。一方、陽子線治療は大型のがんを得意としています。先述の肝がん、肺がんにおいて、腫瘍(しゅよう)のサイズによっては、陽子線治療を勧められる場合があります。個々の患者さんのがんの状態により、ベストな高精度放射線治療を検討し、提案します。

サイバーナイフの保険適用となる疾患は、脳腫瘍(脳転移を含む)、頭頸部腫瘍(とうけいぶしゅよう)、肺がん、肝がん、腎がん、肺転移、肝転移、前立腺(ぜんりつせん)がん、膵(すい)がん、脊椎転移(せきついてんい)などですが、個数や大きさなどに制限があります。まずは主治医にご相談いただき、当院の外来受診、もしくはセカンドオピニオンを検討してください。

更新:2025.02.06