釧根地域に根ざしたリハビリテーションをめざして

釧路孝仁会記念病院

リハビリテーション部

北海道釧路市愛国

釧根地域で唯一の回復期リハビリテーション病院

回復期リハビリテション病院とは、急性期※1治療後の患者さんの在宅復帰を目的としており、自宅・社会復帰に不安のある方を対象に、早期に在宅・社会復帰をめざす病院です。

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1日最大3時間、365日体制の専門的リハビリテーションの提供や訓練だけでなく、起床から就寝までの間における食事や着替え、歯磨きや整容、排泄(はいせつ)などの日常的な動作も含めた入院生活をすべてリハビリと捉えた生活援助が受けられることが大きな特徴です。

また、入院期間は疾患によって異なりますが、最短で60日まで、脳卒中(のうそっちゅう)においては150~180日間を上限として入院可能です。全国では脳血管系の患者さんが4割、整形外科系が4割に対し、当院では脳血管系の患者さんが8割以上というのも特徴です。

さらに、当院は釧根地域において唯一の回復期リハビリテーション病院として、地域医療におけるリハビリテーションの一角を担っており、釧路市からおよそ150~200kmの圏内で入院を受け入れています。

医療機関・社会福祉サービス提供が不足している地域へ退院する患者さんは、その地域でいかに生活を継続できるかが鍵となっています。私たちは、地域の患者さんのニーズに応え、満足度の高いリハビリテーションサービスが提供できるよう、「暮らしを支えるリハビリテーション」をモットーにしてマンツーマンを主軸とし、365日体制で看護師・リハビリスタッフ・相談員など、各専門職の視点からサービスを提供しています。

※1 急性期:病気・けがを発症後、14日以内(目安)。不安定な状態

急性期病院から生活期まで一貫した連携

孝仁会グループでは、急性期病院から生活期まで連携を密、かつシームレス(継ぎ目のない)に行い、一貫したサービス提供を実現しています。

病気で急性期病院に入院して治療を受けた後、当院へ転院し後遺症に対するリハビリを行います。当院のリハビリが終了し、地元地域に退院した後は、デイケア、デイサービス、訪問リハビリテーションなどを利用します。自宅への退院が難しい患者さんは、特別養護老人ホームなどの介護施設も法人グループ内に併設しており、入所が可能です。

法人内で入院から退院後の生活までのすべてを網羅でき、シームレスな医療・介護サービスが受けられます。また、法人外の地域病院・介護サービス・施設とも連携を取り、法人外施設を利用しても患者さんが「その人らしく、いきいきとした生活」を送ることができるように、常に最高の治療の提供に努めています。

集中的で質の高い医療をチームで提供します

患者さんにとって何が大切なのか、どんな治療が最適かを明確にするためにも、医師・理学療法士・作業療法士・言語聴覚士・看護師・医療福祉相談員・管理栄養士などによりチームを結成し、社会復帰に向けて全力でサポートします。

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患者さんを中心とするこのチームメンバーは、それぞれが連携し、専門性を最大限に発揮し、質の高いサービスを提供して退院後の「生活の質の向上」や「その人らしい生活を送ること」を追求しています。

その成果もあり、患者さんの日常生活動作の改善度合いは全国平均と同等であり、地方でも全国水準レベルの医療を提供しています。

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入院時から退院時の日常生活自立度の改善度合いは全国水準レベルを示しています

新と旧が融合したリハビリテーションを提供

従来のリハビリテーション(理学療法・作業療法・言語聴覚療法)は、病気により動けなくなった方に対して、寝返る・起き上がる・座るなどの基本的な動作、歩行、日常生活動作、食べる・飲み込む・話すなどの「機能・活動」の問題に、それぞれの専門科が自己の技術を磨き治療を行っていました。

近年では、さらに多様化する活動障害に対応したサポート範囲の拡大、治療支援ロボットなど、多数の新しい支援技術が登場し、リハビリテーションにもイノベーション(変革)が訪れています。

当院では、従来の技術はもちろんのこと、新しいテクノロジーとしてロボティクスリハビリテーションを取り入れ、新と旧が融合したオーダーメイドのリハビリテーションを提供しています。

ロボティクスリハビリテーションとは?

ロボティクスリハビリテーションは、「ロボット」+「リハビリテーション」という意味であり、ロボットをリハビリテーションの手段として活用し、機能・活動の能力の改善を図る新しいリハビリ技術です。

当院では、歩行や腕・手指の機能をサポートするものを中心に使用し、対象の患者さんの状態に合わせて、熟達したスタッフがロボットを選択します。

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ロボティクスリハビリテーションの効果

ロボティクスリハビリテーションの最大のメリットは、「体をアシストして目的の動作を正確かつ繰り返し練習できること」です。さらに、ロボットを使用したリハビリと通常のリハビリを組み合わせることで、歩く能力が向上するということも科学的に証明されています。そのため、リハビリでロボットを使用することは、現在の日本の医療で推奨されています。

当院では、多くのロボット機器を取り揃え、患者さん一人ひとりの体の機能・活動に合わせて単体で、時には複数組み合わせて使用し、オーダーメイドのリハビリテーションを提供することに力を入れています。地方にいても最新医療を患者さんへ提供していきたいと考えています。

多くの患者さんが地元地域で(自立した)生活を送れるように

リハビリテーションでは、体の機能回復だけではなく、在宅復帰・社会復帰に向けた日常生活動作、家事動作、復職などのトレーニングを行っています。運転が必要で各種評価に問題ない方は、実際に自動車学校で実場面の確認をしています。また、外出、外泊訓練を行いながら、生活環境の調整や介護保険サービスの調整をケアマネージャーなどとともに行っています。

生活の自立が難しい患者さんには、家族への介護指導や福祉用具の選定、自助具の作成などを行い、さまざまな点から患者さんの生活をサポートしています。

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家屋評価や家事動作訓練など

透析時のリハビリテーションを実施しています

透析患者さんの運動能力は、同世代と比べて約半分といわれています。その要因として、サルコペニアとフレイルがかかわっています。

サルコペニアとは、筋力低下と身体機能低下を合併し、筋肉量が低下した状態です。フレイルは、身体機能だけではなく、精神的・心理的・社会的な面の低下も含まれます。サルコペニアとフレイルは「適切な介入・支援により、生活機能の向上が可能」といわれています。

透析患者さんの生命予後※2は、栄養状態(筋肉量や体重など)と運動機能(筋力や歩行速度など)に大きく影響されます。

透析中の患者さんに対して運動療法を行うことで、全身持久力、生活の質、身体機能(歩行能力、筋力)が改善するといわれています。全身持久力、身体機能の向上によって転倒の予防にもつながり、生活の質が改善する効果があるとされています。

当院では、透析中にエルゴメーターという運動機器を使用し、自転車漕ぎ運動に取り組んでもらっています。この運動プログラムの流れとしては、理学療法士の指導のもと、ストレッチや筋力訓練、ボールを用いた運動、自転車漕ぎ運動をベッド上で寝た姿勢のまま行います。筋力訓練や自転車漕ぎ運動は、患者さんの機能に合わせて負荷量を調整し、機能向上に合わせて運動内容を変更しています。また、透析利用日以外でも自宅で行える運動を指導し、運動習慣をつけてもらうようにサポートしています。

※2 予後:今後の病状についての医学的な見通し

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透析中の運動療法

更新:2024.05.31