めまいは耳から?
平塚市民病院
耳鼻咽喉科
神奈川県平塚市南原
ある日突然、ぐるぐる回るめまいがでてきて、脳がどうかなってしまったのかと不安になって病院に行き、いろいろな検査を受けたところ、「脳には異常なさそうです。耳のせいかもしれないから、次は耳鼻咽喉科にかかってください」と言われて驚いた、という経験をお持ちの方もいらっしゃるのではないでしょうか。めまいは耳からくるのでしょうか?
めまいの原因・診断
私たちの体には、姿勢のバランスを保つ機能が備わっています。この機能に異常をきたすと、めまいが起こります。機能異常を引き起こす病気の場所によって、耳の病気、脳の病気、そのほかの病気に分けられます(図1~3)。
検査を通して原因を探る
病院では、これらの病気を鑑別するために、以下のような検査を行います(図4)。
眼振検査、平衡機能検査(ふらつき検査)、聴力検査。中枢性めまいを疑う場合は、頭部CTやMRI。循環器疾患が疑われる場合は、血圧測定、胸部聴診、胸部X線、心電図など。
どの科にかかればよいのかご自身で判断が難しい場合は、まずはかかりつけ医にご相談ください。どんな状況で、どんな姿勢で、どんなめまいが、どのくらい続いたか、また、めまい以外の症状があったかどうかを、正しく伝えていただきますと、めまいの診断と治療に大変役立ちます。以上のように、一口にめまいといっても、その原因となる病気にはさまざまありますが、この項では耳の病気について補足説明します。
耳からくるめまいの種類
良性発作性頭位めまい症:
朝起き上がるときなど、頭を動かしたり、ある特定の頭の向きで回転性めまい(自分や周囲がぐるぐる回って見えるめまい)が起こりますが、1分~数分程度でめまいは消失します。耳鳴りや難聴はありません。
前庭神経炎(ぜんていしんけいえん):
突然、激しい回転性めまいが起こり、通常数日間続きます。耳鳴りや難聴はありません。
メニエール病:
突発的な回転性めまい発作を反復します。めまい発作時に、耳鳴り、難聴、耳閉感(じへいかん)(耳が詰まった感じや塞(ふさ)がれた感じ)などを伴います。
めまいを伴う突発性難聴:
ある日突然に片方の耳の聞こえが悪くなる病気です。このときにめまいを伴う場合があります。
外リンパ瘻(ろう):
急激な圧の変動(飛行機、ダイビング、鼻を強くかんだ、など)によって、回転性めまいや耳鳴り、難聴、耳閉感などが起こります。
めまい症治療と予防
治療は、めまいを起こしている病気(前述)に準じますが、めまい発作が起きている急性期には、対症療法として、めまい症状や吐き気を抑える点滴や飲み薬を使います。しかし、いろいろな検査でもめまいの原因がわからず診断ができないことは、実際の診療では、実は少なくありません。このようなめまいは、いわゆる“めまい症”といわれ、上手につきあっていくことが必要です。
めまいが起こらないようにする予防策として、次にあげるような運動を続けるとよいでしょう。
- 眼球を上下左右に動かす運動
- 頭を前後左右に動かす運動
・前後に30度ずつ、左右に30度ずつ頭を振ります - 立ったり座ったりする運動
・立ったり座ったりを繰り返します
・足腰のバランスを鍛えます - 歩行運動
・全身の筋肉、内耳、動体視力などの総合的なバランス感覚を鍛えます
・1日5000歩を目安にしてください
めまいは、生活リズムの乱れやストレスで起こりやすくなります。めまいが起こらないように心がけること、生活上の注意点は、以下の通りです。
- 規則正しい食事
- 飲酒は控えめに:お酒は小脳の機能を抑えるので、めまいやふらつきが強まる可能性があります
- 節煙・禁煙:たばこに含まれるニコチンは、血管を収縮させて血液の循環を悪くし、めまいを起こしやすい状況をつくります
- 十分な睡眠
- ストレスとうまくつきあう
日頃から生活リズムを整え、自分なりのストレス解消法をもつようにして、ストレスをためない生活を心がけましょう。
更新:2024.10.29