心房細動:心房細動の脳梗塞予防(経皮的左心耳閉鎖術)

札幌孝仁会記念病院

循環器内科

北海道札幌市西区宮の沢

心房細動とは?

心臓は規則正しく収縮することで全身に血液を循環させています。心房細動(しんぼうさいどう)とは、心臓の上側にある心房という部屋がけいれんしたように小刻みに震えることで、心臓が規則正しく収縮できなくなる病気です(図1)。

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図1 心臓の4つの部屋と心房細動
心房細動は心房がけいれんする不整脈です

心房細動は脳梗塞の原因に

心房細動が起こると、心房の中の血液の流れが悪くなり血液が停滞するために血栓(けっせん)(血の塊(かたまり))ができやすくなります。この血栓が血液の流れに流されて、脳の血管が詰まってしまうと脳梗塞(のうこうそく)という病気になります。

心房細動による脳梗塞は、そのほかの原因による脳梗塞より重症になることが多く、重い障害が残ったり、時には命にかかわったりする場合があります。

体の負担が少ない経皮的左心耳閉鎖術

心房細動では、心房の部屋の中にある左心耳(さしんじ)と呼ばれる場所に血栓が多く発生します。左心耳閉鎖術は、この左心耳を塞(ふさ)ぐことで血栓ができないようにして、脳梗塞を予防する治療方法です。左心耳を塞ぐ機器を、足の付け根の血管から入れて(経皮的といいます)、左心耳の入口まで運び、そこに機器を埋め込むことで左心耳を塞ぎます(図2)。これを、経皮的左心耳閉鎖術といいます。大きな手術ではなく、患者さんの体の負担が少ない治療です。

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図2 経皮的左心耳閉鎖術

また、この治療により脳梗塞の予防の薬(抗凝固薬(こうぎょうこやく):血液をサラサラにする薬)を中止することができます。脳梗塞の予防の薬を内服していると血が止まりづらくなりますが、この経皮的左心耳閉鎖術を受けることで、抗凝固薬を長期に内服することによる出血の危険性を減らすことができます。

更新:2025.02.06