総合腎臓病センターー年代を超えた集約的腎臓病治療

愛知医科大学病院

総合腎臓病センター

愛知県長久手市岩作雁又

総合腎臓病センターとは

2002年に慢性腎臓病という概念が提唱され、腎臓病の重要性は、より一層認識されるようになりました。これまで当院では、腎臓・リウマチ膠原病(こうげんびょう)内科が主体となり、腎臓病の診断、保存期腎不全(透析療法を開始するまでの腎不全の状態)の治療、末期腎不全の血液浄化療法(血液透析、腹膜透析)を提供してきましたが、早期発見、早期治療、小児から成人、さらに高齢者まですべての年代の腎疾患に対応する必要性や腎移植療法を含む腎代替療法の充実などを図る必要性が高まり、2016年7月、総合的に腎臓病を診ることを主眼として「総合腎臓病センター」が設立されました。

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写真1 血液透析は23床あります

これにより、単なる血液浄化療法センターではなく、1つの総合腎臓病センターの中で、より密に連携した質の高い医療が提供できることが可能になりました(写真2)

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写真2 腎臓外来、腹膜透析外来、移植外来、小児腎臓外来は同じスペースで診療しています。写真は待合室

腎臓専門医(内科、小児科)、透析専門医、腎移植専門医、看護師、臨床工学技士、管理栄養士、移植コーディネーター、研究員の各分野のスペシャリストが集まり構成され、腎臓病の早期発見・診断・治療から、腎不全進展の抑制、合併症の予防・治療、患者さん一人ひとりのニーズに則した適切かつ、質の高い腎代替療法の選択を提供しています。

全国の大学病院でも、このようにすべてを行っている施設は、数えるほどしかありません。

小児腎臓専門外来――内科との連携で継続的な治療・管理

慢性腎臓病は、大人だけの病気とは限りません。子どもの頃に発症する病気もたくさんあり、生涯にわたり継続的な治療や管理が必要となります。代表的な病気としては先天性の腎・尿路の病気が多くを占めていますが、大人でも生じる慢性糸球体腎炎、ネフローゼ症候群や慢性腎不全なども存在します。赤ちゃんから大人までの長期間にわたって内科、小児科の枠を超えた管理が必要となります。

当センターは、センター内部に小児腎臓専門外来を併設しています。このことにより、患者さんの年齢、病気を問わず対応が可能となります。さらに、小児から大人への診療に移行する橋渡しも円滑に行える、国内でも希少なシステムを有しています。

小児の献腎移植・生体腎移植についても腎移植外科と協力して行っており、保存期の腎不全管理から腎代替療法(腹膜透析、血液透析や腎移植)に至るまで、総合的で集約的な治療の体制を整備しています。

腎移植外科――腎移植治療に特化

当センターでは、慢性腎臓病に対する治療として、透析治療だけではなく、腎移植治療に関しても1つのブロックで行っています。腎移植治療とは、腎移植手術だけではなく、移植後の生涯にわたる免疫抑制療法も含みます。

腎移植外科では腎移植治療に特化した診療を行っており、年間30~40例の生体腎移植を行っています。移植後もきめ細やかな診療を心掛けており、当院で移植を受けた方のほとんど(95%以上)が透析を再開することなく元気に通院しています。また、適切な生体腎提供者がいない場合は、移植までの期間は長くなりますが献腎移植も可能で、その場合は移植待機患者さんの全身管理を行っています。当院における生体腎移植の特徴は、透析未導入での生体腎移植が多いということです。このような先行的腎移植は、腎臓・リウマチ膠原病(こうげんびょう)内科、小児腎臓専門外来とのセンター内連携により可能な治療選択となっています。

現在、腎移植は血液型に関係なく、高齢の方でも夫婦間でも、誰でも受けられる治療法です。

「自分たちには無理でしょう」と思われている方、まずはご相談ください。

更新:2024.10.29