とうにょうびょう

糖尿病

概要

糖尿病は、自覚症状がないまま進行し、さまざまな合併症を引き起こす病気です。食事をすると、さまざまな栄養素が血液を介して体に吸収されますが、代謝機能が滞ると、ご飯やパンなどの炭水化物に含まれるブドウ糖が血液中から細胞内に取り込まれず、血糖値の上昇を引き起こします。これが糖尿病のメカニズムで、膵臓(すいぞう)から分泌されるインスリンというホルモンの働きが重要です。何らかの原因でインスリンの分泌量が減ったり、インスリンの作用が弱まったりすると、慢性的な高血糖状態が続きます。こうして高血糖の状態が長く続くと、血管に負担をかけ続けることになり、神経、網膜、腎臓をはじめとして全身に障害をおこします。

以下にあげる糖尿病の合併症は、3大合併症と呼ばれ、広く知られています。発症から5~6年で起こる神経障害は、両手足にしびれや痛みといった知覚神経障害が現れ、次第に自律神経を侵して、立ちくらみ、発汗、便通異常などを起こします。発症から7~8年経つと、視力に障害が起こる網膜症、さらに発症から15年程度で腎症を発症する可能性があります。腎症が進行すると腎不全となり、人工透析や腎臓移植が必要になるなど、合併症が進むと医療費がかさむことも大きな社会問題となっています。

厚生労働省「令和元年 国民健康・栄養調査」(https://www.mhlw.go.jp/content/10900000/000687163.pdf)によると、「糖尿病が強く疑われる者」の割合は男性 19.7%、女性 10.8%でした。この 10 年間では、男女とも有意な増減は見られません。年齢階級別に見ると、年齢が高い層で割合が高くなっています。

グラフ
グラフ:「糖尿病が強く疑われる者」の割合(20歳以上、性・年齢階級別)
厚生労働省「令和元年 国民健康・栄養調査」から抜粋・加工

原因

糖尿病には、大きく分けて1型糖尿病、2型糖尿病という2つのタイプがあります。1型糖尿病は、自己免疫異常によるもので、多くは幼児から思春期に発症します。インスリンを分泌する膵臓の細胞が壊されてしまう疾患です。

圧倒的に多いのは2型糖尿病で、糖尿病患者さんの約90%がこれにあたります。インスリンの分泌が低下しやすい体質など遺伝的な要因もありますが、食べ過ぎ、肥満、運動不足、ストレスなどの生活習慣が深く関係しています。以前は40歳以上で発症するといわれていましたが、最近では20歳代で発症する人も増えてきました。

糖尿病には、ほかにも膵臓病や内分泌疾患、肝臓病、薬剤によるものなど、ほかの疾患が原因で起こるものや妊娠中におこる妊娠糖尿病があります。

症状

糖尿病の初期には自覚症状がほとんどありません。しかし、健診などで血糖値が高めと注意されている場合などは、特に次のような初期症状を放置することは危険です。

  1. 手足のしびれ、足の感覚が鈍い
  2. のどが渇く、水を多く飲む、尿が増える
  3. 体重が減る
  4. 倦怠感(けんたいかん)があって疲れやすい、感染症にかかりやすい
  5. 目のかすみ、まぶしく感じる

また、糖尿病患者さんは動脈硬化を起こしやすく、心筋梗塞や脳梗塞の引き金になることもあります。

検査・診断

糖尿病が疑われるときは血液検査で血糖値とヘモグロビンA1c(HbA1c)を調べます。

判定基準

  1. 朝の空腹時血糖値 126mg/dL以上
  2. 75g経口ブドウ糖負荷試験2時間値 200mg/dL以上
  3. 時間に関係なく測定した血糖値 200mg/dL以上
  4. HbA1c 6.5%以上
  5. 朝の空腹時血糖値 110mg/dL未満
  6. 75g経口ブドウ糖負荷試験2時間値 140mg/dL未満

①〜④のいずれかを確認→「糖尿病型」(糖尿病の疑いあり)として別の日に再検査を行い、①~③のいずれかと④を確認→糖尿病と診断、⑤および⑥を確認→「正常型」、いずれにも該当しない→「境界型」となります。

このように、糖尿病の診断には、糖尿病と確定診断されるほか、糖尿病型、正常型、そしていずれにも該当しない境界型というグループがあります。境界型とはいえ、将来、糖尿病になる可能性が高いとされる数値を示しているので、6カ月~1年ごとに検査することが推奨されます。

 *ヘモグロビンA1c:赤血球のヘモグロビンとブドウ糖が結合した物質。最近1〜2カ月の平均した血糖値の状態を示す。

治療

糖尿病も早期発見・早期治療が重要で、血糖値を下げて良好なコントロールを維持することを目標にします。症状の進行具合にかかわらず、基本となるのは食事療法で、欠かせない治療法です。まずは、①腹八分目にする ②できるだけ多くの種類を食べる ③脂肪を控える ④食物繊維(野菜、海藻、きのこなど)をとる ⑤1日3食規則正しく食べる ⑥ゆっくりよくかむ、という6つを守りましょう。

1日の適正な摂取カロリーは、性別、年齢、体重、日常の身体活動量、血糖値、合併症の有無によって決定され、男性で1600~2000kcal、女性で1400~1800kcal程度が目安で、エネルギー摂取量が過剰にならないことが重要です。

運動療法も、糖尿病に対する効果的な治療法の一つです。ウォーキングや軽い筋力トレーニングは、1週間に3日以上行うとよいとされています。ただし、年齢や全身の状態など、個人差が大きいため、必ずかかりつけ医に相談の上で行ってください。

食事療法、運動療法を行った上でも血糖値が改善されない場合は、薬物療法が検討されます。適する病態や副作用などを考慮しながら、個々の患者さんに合わせて経口薬が選択されます。

更新:2022.05.16