がん
基礎情報
概要
がんとは、体の中の細胞が異常な増殖を起こし、増えすぎてしまう病気です。増えすぎた細胞は周囲の組織を壊したり、血管やリンパ管(※1)を通じてほかの場所に転移(※2)したりする特徴があります。
がんは世界で2番目に多い死亡原因です。しかし、がんの検査、治療、予防の改善により、多くの種類のがんの生存率は向上しています。
※1:体内をめぐる管で静脈につながっており、余分な水分の循環、老廃物、有害物のろ過、免疫機能を行う
※2:別の場所に広がること

がんの原因
がんが発生する主な原因は、細胞の遺伝子が何らかの理由で変異(※3)することです。この変異が重なると、細胞は正常に分裂・増殖する仕組みを失ってしまい、無制限に増えるようになります。
以下は、遺伝子変異のリスクを高めるといわれている代表的な要因です。
- 1.喫煙
- タバコには多くの有害物質が含まれ、肺や口の中、喉などのがんの発生を促すとされています。
- 2.食生活や生活習慣
- 脂質や糖分をとりすぎる食事、運動不足、過度の飲酒などはがんのリスクを高める可能性があります。
- 3.遺伝的要因
- 家族に同じ種類のがんが多く見られる場合、遺伝的にがんを発症しやすい体質が受け継がれることがあります。
- 4.環境要因
- 大気汚染、化学物質への長期的な曝露(※4)(ばくろ)などが原因となる場合もあります。
- 5.ある種のウイルス感染
- ヒトパピローマウイルス、B型肝炎ウイルス、C型肝炎ウイルスなど、特定のウイルス感染症が子宮頸がん、肝臓がんの原因となります。
※3:普通とは違う変化を起こすこと
※4:さらされること
がんの症状
がんの種類やできた部位によって症状は異なります。がんには目立った初期症状はありません。しかし、次のようなサインがある場合には既に病気が進行している場合もあるので注意してください。
- 原因不明の体重減少
- 食事量が変わらないのに急激にやせる場合は、何らかの病気が隠れているかもしれません。
- 長引く咳や声のかすれ
- 特に血が混じるたんが出る場合は、肺や気管支の異常を疑う必要があります。
- しこりや腫れ
- 乳房や首、わきの下など、普段はないはずのしこりを触れたり、見た目でわかったりする場合は検査が必要です。
- 持続的な発熱や疲労感
- 風邪などのように一時的でなく、長期間続く場合は要注意です。
- 排泄の変化
- 便秘や下痢が続いたり、血便が見られたりする場合は、大腸などにがんがあるかもしれません。
- 皮膚の変化
- ほくろの色や形が変わる場合や、新たなしこりやただれができる場合は、皮膚がんの可能性があります。
これらの症状はがん以外の病気でも起こることがありますが、気になる症状が続くときは早めに医療機関を受診しましょう。
がんの検査・診断
がんが疑われるとき、医師は以下のような方法を用いて検査・診断を行います。
- 1.血液検査
- がんの種類によっては、血液中に特有の物質(※5)が増える場合があります。ただし、腫瘍マーカーだけでは正確な診断が難しいため、ほかの検査と組み合わせます。
- 2.画像検査
- X線(レントゲン)、CT(コンピューター断層撮影)、MRI(磁気共鳴画像)、PET(※6)(陽電子放出断層撮影)などを使い、体内の様子を詳細に調べます。
- 3.組織検査(生検:せいけん)
- 疑わしい部分の細胞や組織を切り取って、顕微鏡(けんびきょう)で詳しく観察します。がん細胞があるかどうかを直接確認できる重要な検査です。
これらの検査結果を総合的に判断し、どの部位のどのようながんか、進行度はどうかを診断します。
※5:腫瘍マーカー
※6:放射性薬剤を注射して、その分布を画像化することで、がんの有無や広がり、転移、治療効果などを調べる検査
がんの治療
がんの治療法は、種類や病期(どのくらい進んでいるか)によって異なります。主な治療法は以下のとおりです。
- 1.手術療法
- がんのある部分を切り取る方法です。早期のがんでは手術で病変を取り除くことで治癒(※7)が期待できます。
- 2.放射線療法
- X線などの放射線を照射して、がん細胞を死滅させたり、小さくしたりします。手術と組み合わせたり、単独で使われる場合もあります。
- 3.化学療法(抗がん薬治療)
- がん細胞の増殖を抑える薬(抗がん薬)を使う治療法です。飲み薬や点滴で投与しますが、吐き気や脱毛(だつもう)などの副作用が出ることがあります。
- 4.免疫療法(免疫チェックポイント阻害薬など)
- 体の免疫(※8)を高め、がん細胞を攻撃できるようにする薬を用いる治療法です。近年、研究が進展しており、一部のがんで効果が報告されています。
- 5.ホルモン療法
- 乳がんや前立腺がんなど、ホルモンによって増殖が促されるタイプのがんには、ホルモンの働きを抑える薬を使う治療が行われることがあります。
- 6.分子標的療法
- がん細胞がもつ特定の遺伝子変異やタンパク質をピンポイントで狙う薬を使う治療です。化学療法に比べて副作用が少ないことが期待されています。
治療方針は、がんの種類、進行度、患者さんの体力や希望を考慮して総合的に決定します。
※7:治ること
※8:病気と戦う仕組み
がんの合併症
がんおよびその治療は、次のようないくつかの合併症を引き起こす可能性があります。
- 痛み:痛みはがんやがん治療によって引き起こされることがあります。ただし、すべてのがんが痛みを伴うわけではありません。がんに伴う痛みは、薬物療法やその他の方法で効果的に治療できます。
- 疲労:がん患者の疲労にはさまざまな原因がありますが、多くの場合は対処可能です。化学療法や放射線療法に伴う疲労は一般的ですが、通常は一時的なものです。
- 呼吸困難:がんまたはがん治療により、息切れを感じることがあります。治療により症状が緩和されることがあります。
- 吐き気:特定のがんやがん治療は吐き気を引き起こす可能性があります。治療によって吐き気が起こる可能性があるかどうかは、医師が予測できる場合があります。投薬やその他の治療によって、吐き気を予防したり軽減したりできる場合があります。
- 下痢または便秘:がんやがん治療は腸に影響を与え、下痢や便秘を引き起こす可能性があります。
- 体重減少:がんやがん治療は体重減少を引き起こす可能性があります。がんは正常な細胞から栄養素を奪います。これは摂取カロリーや食物の種類によって影響を受けることは少なく、治療は困難です。ほとんどの場合、胃や静脈にチューブを通して人工栄養を投与しても体重減少は改善されません。
- 脳と神経系の問題:がんは近くの神経を圧迫し、体の一部に痛みや機能喪失を引き起こすことがあります。脳に影響を及ぼすがんは、頭痛や、体の片側の衰弱など、脳卒中のような兆候や症状を引き起こすことがあります。
- 転移するがん:がんが進行すると、体の他の部位に広がる(転移する)場合があります。がんが広がる場所は、がんの種類によって異なります。
- 再発するがん:がんを克服した人でも、がんが再発するリスクがあります。がんによっては、他のがんよりも再発しやすいものがあります。
がんの予防
すべてのがんを防ぐことは難しいですが、リスクを下げるために次のような生活習慣を心がけるとよいでしょう。
- 1.禁煙や受動喫煙の回避
- タバコを吸わないだけでなく、人のタバコの煙を吸わされる受動喫煙も避けることが大切です。
- 2.バランスのよい食生活
- 野菜や果物を中心に、バランスよく栄養をとりましょう。塩分や脂肪分の摂りすぎにも注意が必要です。
- 3.適度な運動
- ウォーキングや軽いランニングなど、続けやすい運動を取り入れ、体重を適正に保ちましょう。
- 4.定期的な検診・検査
- 胃がん検診、大腸がん検診、乳がん検診など、早期発見のために定期検診を受けましょう。
- 5.適度な飲酒
- アルコールの摂取はがんリスクを上げる可能性があるため、飲みすぎに注意が必要です。
- 6.ワクチン接種
- HPVワクチン(ヒトパピローマウイルスワクチン)は、子宮頸がんの予防に一定の効果があるとされています。
更新:2026.05.13































